心筋炎(小児科) :トップ    
監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター
香取竜生 公立学校共済組合 関東中央病院 小児科

概要

疾患のポイント:
  1. 心筋炎は心筋の炎症性疾患であり、原因の多くはウイルス感染による。<図表>
  1. 非特異的なかぜ症状や消化器症状などに続いて、数日から数時間で心不全症状、胸痛、不整脈が出現する。劇症型では、急速に心原性ショックや重症不整脈を呈する。
 
診断: >詳細情報 
  1. 血液検査(心筋逸脱酵素、心筋トロポニン等)、心電図(ST-T異常、不整脈等)、胸部X線所見(心拡大、肺うっ血)、心エコー検査を行う。心エコーは特に有用である。
  1. 血中ウイルス抗体は中和抗体が特異性が高く、特異的IgM抗体価の上昇は早期診断に有用である。アデノウイルスとエンテロウイルスの陽性率が高く、アデノウイルスによるものが10~50%、エンテロウイルスが20~30%であり、特にコクサッキーウイルスによる心筋炎は重症になりやすい(<図表>)。コクサッキーウイルスB群1~6型、およびA群4・9・16型、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、エコーウイルス9・11・14・16・22型、パルボウイルスB19、ヒトヘルペスウイルス6型、インフルエンザAおよびBウイルスなどに加え、小児および新生児の場合は、単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、RSウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルスなども考慮する。
  1. 心筋生検は診断の決め手となるが、乳幼児では穿孔等のリスクが高い。拡張型心筋症との鑑別が必要と考えられる場合などに行われる。病変が巣状であることもあり、偽陽性となることもあり、適応は慎重に検討するべきである。
  1. 心筋炎を惹起するウイルス:<図表>
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 経過がよい場合は、1~2週の炎症期ののち回復期に入る。
  1. 小児期の心筋炎の40%は劇症型、50%が急性である。小児例全体の生存例は75%とされる。60%は後遺症なく退院する。
 
治療: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断
  1. 心不全徴候としては、不機嫌、多呼吸、四肢冷感、チアノーゼ、嘔吐、食欲不振、頻脈、徐脈、不整脈、心雑音、奔馬調律、湿性ラ音、胸水、腹水、肝腫大、毛細血管再充満時間延長などがある。
○ 心不全徴候等を認めた場合、心筋炎・心筋症を鑑別するため血液検査、心電図検査、胸部X線検査、心エコー検査を行う。特に心エコーは有用である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

心筋炎を惹起するウイルス
急性心筋炎の診断手引き
急性心筋炎の心電図
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01