今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 川名敬 日本大学医学部 産婦人科学系 産婦人科学分野

監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023
  1. 日本性感染症学会:性感染症 診断・治療ガイドライン 2020年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023』の発行に伴いレビューを行った。
  1. 4価HPVワクチン、9価HPVワクチンが12-16歳女性(定期接種)、平成9年度生まれ~平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)の女性(キャッチアップ接種:3年間限定)に対して無料接種できることを追記した。
  1. 4価HPVワクチンの男性への定期接種化も検討されていることを追記した。

概要・推奨   

  1. 臨床症状・所見により診断は可能であるが、症例によっては組織診により確定診断する(推奨度2)
  1. 外性器または肛門周囲に病変を有する患者を対象としたイミキモド5%クリームの有効性を調べた試験では、4週間塗布で病変面積の約80%が消失する(推奨度2)
  1. 難治性の病変ではまれに外陰癌に変化することがある。病変の所見が変化したら、生検による組織検査を行う(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 尖圭コンジローマは10万対で30人程度が罹患する。男女比は1:1で、女性は20歳代、男性は30歳代がピークとなる[1]
 
尖圭コンジローマの男女別・年齢群分布(2020年9月)

全国約1,000箇所の定点医療機関から尖圭コンジローマと診断、報告された男女別年齢分布

出典

国立感染症研究所 :9価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン ファクトシート. 2021. p. 16 図7
 
  1. ヒトパピローマウイルス(HPV)6型もしくは11型が性行為によって生殖器に感染することによって発症する。
  1. HPV6型もしくは11型感染者の75%以上は発症する。感染から発症までの潜伏期間は3週~8カ月(平均2.8カ月)である[2][3]
  1. 生殖器粘膜もしくは皮膚に性交時にできた微細な傷からHPVが侵入し、重層扁平上皮の基底細胞に到達することによって感染が成立する。良性乳頭腫であり、有茎性のイボ(疣贅)を形成する。
  1. 出血、疼痛、痒みを伴うことは原則的にはないが、疣贅の茎が裂ける場合は出血・疼痛を伴う[3]
  1. 病変の好発部位は、女性では外陰、腟壁、子宮頸部、腟前庭、男性では外陰、陰茎、会陰、陰嚢、男女ともに会陰、肛門内、尿道口である。
  1. 治療は、イミキモド5%クリームの外用が第1選択である。外科的治療法として凍結療法、外科切除、焼灼、レーザー蒸散も有効である[3]
  1. 外科的治療法では治療が奏効しても再発率が高い(治療後3カ月で10~30%再発する)。治療後も再発のチェックが必要である[3][4]
  1. 悪性化することはきわめてまれである。他の腫瘍性病変との鑑別のため生検による組織診断が必要である。
  1. 梅毒流行期では、2期梅毒である扁平コンジローマとの鑑別を行うために、梅毒抗体検査を行う。
  1. 妊娠に伴って発症することがあり、妊婦では薬物療法は慎重投与であるため外科的治療が望ましい。ただし再発率が高いのでフォローが重要である。
  1. 尖圭コンジローマ合併妊婦から生まれた児にまれに母子感染症(再発性呼吸器乳頭腫症)を発症する[5]
  1. 4価HPVワクチンによって予防し得る疾患である[6]
 
  1. 尖圭コンジローマ患者では、ハイリスク型HPVの子宮頸部への感染にも注意する。
  1. 尖圭コンジローマがある女性では、ない女性に比べて子宮頸部細胞診異常が約2倍となる[7]。したがって尖圭コンジローマ患者では必ず子宮頸がんの癌検診も必要である。
  1. 当科を受診して尖圭コンジローマと診断された女性のうち53%には子宮頸部にハイリスク型HPVが検出された。HPV6型もしくは11型で悪性腫瘍を発症することはきわめてまれであるが、それ以外にハイリスク型HPVが混合感染している可能性があることを患者に説明する必要がある。
  1. 女性の尖圭コンジローマ患者では、子宮頸がん検診が不可欠である。
 
  1. 尖圭コンジローマはHPVワクチンによって予防できる性感染症である(推奨度1)
  1. 4価HPVワクチン(ガーダシル)の16~26歳を対象にした3つの大規模臨床試験(世界数十カ国)を統合して解析した[8][9][10]。表(<図表>)では、14タイプのHPV-DNAが陰性かつワクチンタイプ(6/11/16/18)の抗体が陰性である集団を“未感染者の集団”(per-protocol efficacy: PPE群)と記している。PPE群では、HPV6/11/16/18のいずれかに起因する各臓器の前癌病変(CIN2/3、AIS、VIN2/3、VaIN2/3)の発症をほぼ100%予防していることがわかる。すなわち3.5~4年の追跡期間中にプラセボ群では各評価疾患がある程度発生しているが、ワクチン群ではほとんど疾患が発生していない(<図表>)。この結果から、絶対的なHPV未感染者である学童女子にHPVワクチンを接種すれば、HPV6/11による尖圭コンジローマ、HPV16/18による子宮頸がん、外陰癌、腟癌はほぼ撲滅できると推察される。一方、ワクチンタイプの既感染者、有病者などを含む一般集団(intention-to-treat: ITT群)では、ワクチン群にも評価疾患が発生しているため、予防効果としては子宮頸部疾患で約50%、外陰、腟疾患で70~80%と低下するが、それでも集団として考えると有意差を持って患者数が減少することが証明されている(<図表>)。特に外陰、腟疾患、尖圭コンジローマではITT群としては高い予防効果が示され、成人女性に対する有効性が期待される。
  1. 豪州では、国家プロジェクトとして2007年からHPV4価ワクチン(ガーダシル)の集団接種を12~13歳の学童女子に行い、さらに13~26歳の女性に2年間の無料接種キャンペーンを実施した。その間ビクトリア州では、学童児で80~90%、13~26歳女性でも70%前後の接種率を得た。その結果、豪州ではすでに尖圭コンジローマ患者が減少していることが報告されている。2007年のワクチンプログラム開始後、28歳以下のワクチン接種を受けていると思われる世代の女性の尖圭コンジローマ患者数だけが減少しはじめ、たった4年間で患者数が1/4になっている[11]
  1. 尖圭コンジローマは予防ワクチンによって根絶できる性感染症である。HPVワクチン(4価HPVワクチンもしくは9価HPVワクチン)接種は性交未経験者である学童女子が最も有効である。
  1. 日本では2013年からHPVワクチンが定期接種ワクチンに導入されたが、2013年6月から2021年まで積極的接種勧奨が一時中断されていた。2022年から定期接種(12-16歳女性)の接種勧奨が再開され、さらにキャッチアップ接種(平成9年度生まれ~平成18年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日)の女性)が開始され、いずれの対象者にも無料で接種できる(キャッチアップ接種は3年間限定)。2023年からは9価HPVワクチンが定期接種、キャッチアップ接種に導入された。国内でも2020年12月に4価HPVワクチンは男性への接種が承認されたが、現時点では自費接種となっている。HPVワクチンの男性への定期接種化についても検討中である。
 
4価HPVワクチンによるHPV6/11/16/18に起因する疾患予防効果

16-26歳女性における4価HPVワクチン(ガーダシル)接種群とプラセボ群の疾患発生数と疾患予防効果。PPE群はウイルス学的に未感染者と考えられる集団。ほぼ100%疾患が予防されている。ITT群は全接種対象の集団で、既感染者や有病者を含む集団。尖圭コンジローマは70-80%に近い予防効果が期待できる。

出典

M Y Cheng, F U Hartl, A L Horwich
The mitochondrial chaperonin hsp60 is required for its own assembly.
Nature. 1990 Nov 29;348(6300):455-8. doi: 10.1038/348455a0.
Abstract/Text Heatshock protein 60 (hsp60) in the matrix of mitochondria is essential for the folding and assembly of newly imported proteins. Hsp60 belongs to a class of structurally related chaperonins found in organelles of endosymbiotic origin and in the bacterial cytosol. Hsp60 monomers form a complex arranged as two stacked 7-mer rings. This 14-mer complex binds unfolded proteins at its surface, then seems to catalyse their folding in an ATP-dependent process. The question arises as to how such an assembly machinery is itself folded and assembled. Hsp60 subunits are encoded by a nuclear gene and translated in the cytosol as precursors which are translocated into mitochondria and proteolytically processed. In both intact cells and isolated mitochondria of the hsp60-defective yeast mutant mif4, self-assembly of newly imported wild-type subunits is not observed. Functional pre-existing hsp60 complex is required in order to form new, assembled, 14-mer. Subunits imported in vitro are assembled with a surprisingly fast half-time of 5-10 min, indicative of a catalysed reaction. These findings are further evidence that self-assembly may not be the principal mechanism by which proteins attain their functional conformation in the intact cell.

PMID 1978929
Nubia Muñoz, Susanne K Kjaer, Kristján Sigurdsson, Ole-Erik Iversen, Mauricio Hernandez-Avila, Cosette M Wheeler, Gonzalo Perez, Darron R Brown, Laura A Koutsky, Eng Hseon Tay, Patricía J Garcia, Kevin A Ault, Suzanne M Garland, Sepp Leodolter, Sven-Eric Olsson, Grace W K Tang, Daron G Ferris, Jorma Paavonen, Marc Steben, F Xavier Bosch, Joakim Dillner, Warner K Huh, Elmar A Joura, Robert J Kurman, Slawomir Majewski, Evan R Myers, Luisa L Villa, Frank J Taddeo, Christine Roberts, Amha Tadesse, Janine T Bryan, Lisa C Lupinacci, Katherine E D Giacoletti, Heather L Sings, Margaret K James, Teresa M Hesley, Eliav Barr, Richard M Haupt
Impact of human papillomavirus (HPV)-6/11/16/18 vaccine on all HPV-associated genital diseases in young women.
J Natl Cancer Inst. 2010 Mar 3;102(5):325-39. doi: 10.1093/jnci/djp534. Epub 2010 Feb 5.
Abstract/Text BACKGROUND: The impact of the prophylactic vaccine against human papillomavirus (HPV) types 6, 11, 16, and 18 (HPV6/11/16/18) on all HPV-associated genital disease was investigated in a population that approximates sexually naive women in that they were "negative to 14 HPV types" and in a mixed population of HPV-exposed and -unexposed women (intention-to-treat group).
METHODS: This analysis studied 17 622 women aged 15-26 years who were enrolled in one of two randomized, placebo-controlled, efficacy trials for the HPV6/11/16/18 vaccine (first patient on December 28, 2001, and studies completed July 31, 2007). Vaccine or placebo was given at day 1, month 2, and month 6. All women underwent cervicovaginal sampling and Papanicolaou (Pap) testing at day 1 and every 6-12 months thereafter. Outcomes were any cervical intraepithelial neoplasia; any external anogenital and vaginal lesions; Pap test abnormalities; and procedures such as colposcopy and definitive therapy. Absolute rates are expressed as women with endpoint per 100 person-years at risk.
RESULTS: The average follow-up was 3.6 years (maximum of 4.9 years). In the population that was negative to 14 HPV types, vaccination was up to 100% effective in reducing the risk of HPV16/18-related high-grade cervical, vulvar, and vaginal lesions and of HPV6/11-related genital warts. In the intention-to-treat group, vaccination also statistically significantly reduced the risk of any high-grade cervical lesions (19.0% reduction; rate vaccine = 1.43, rate placebo = 1.76, difference = 0.33, 95% confidence interval [CI] = 0.13 to 0.54), vulvar and vaginal lesions (50.7% reduction; rate vaccine = 0.10, rate placebo = 0.20, difference = 0.10, 95% CI = 0.04 to 0.16), genital warts (62.0% reduction; rate vaccine = 0.44, rate placebo = 1.17, difference = 0.72, 95% CI = 0.58 to 0.87), Pap abnormalities (11.3% reduction; rate vaccine = 10.36, rate placebo = 11.68, difference = 1.32, 95% CI = 0.74 to 1.90), and cervical definitive therapy (23.0% reduction; rate vaccine = 1.97, rate placebo = 2.56, difference = 0.59, 95% CI = 0.35 to 0.83), irrespective of causal HPV type.
CONCLUSIONS: High-coverage HPV vaccination programs among adolescents and young women may result in a rapid reduction of genital warts, cervical cytological abnormalities, and diagnostic and therapeutic procedures. In the longer term, substantial reductions in the rates of cervical, vulvar, and vaginal cancers may follow.

PMID 20139221
問診・診察のポイント  
問診:
  1. イボを自覚した時期を確認し、新しいパートナーの有無とそのパートナーとの性交開始時期は診断の参考となる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
川名敬 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:小林裕明 : 講演料(MSD(株),アストラゼネカ(株),サノフィ(株)),研究費・助成金など(日本ベクトン・ディッキンソン(株)),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株),(株)新日本科学)[2025年]

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