マラリア :トップ    
監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター
氏家 無限 国立国際医療研究センター 国際感染症センター

概要

疾患のポイント:
  1. マラリアは、マラリア原虫(Plasmodium spp.)を運ぶ雌のハマダラカ(Anopheles spp.)の吸血で感染する発熱性の疾患である。<図表>
  1. 蚊を介して人と人の間で感染するマラリアは熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)の4種類がある。
  1. 特に熱帯熱マラリアでは短期間に重症化しやすく、多臓器不全や死亡などの転帰をたどることがある。
  1. 熱帯熱マラリアの流行はサハラ砂漠以南の西アフリカ、ドミニカ共和国、ハイチで多く認める。三日熱マラリアはメキシコ、中米、中東、北アフリカで多く認める。熱帯熱マラリアと三日熱マラリアのどちらの流行も認める地域は、インド、インド亜大陸、南米、中米、東南アジア、オセアニア、パプアニューギニアなどである。四日熱マラリアの流行は、まれではあるがほとんどの地域で認める(特に中央アフリカ、西アフリカ)卵形マラリアの流行は主に西アフリカで認める。
  1. 近年では、国内では輸入マラリアとして年間41~78症例の報告がされている(感染症発生動向調査週報(IDWR))。
  1. マラリアを診断した医師は感染症法に基づき、4類感染症としてただちに最寄りの保健所へ届け出る必要がある。
  1. マラリア原虫の生活環:<図表>
  1. マラリアの流行地域(2010年):<図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. マラリアの診断は、赤血球に感染したマラリア原虫をギムザ染色した血液塗抹標本で顕微鏡的に確認することで確定される。
  1. マラリア陰性と判断するには顕微鏡にて1,000倍の倍率で200~500視野の観察、もしくは厚層塗抹標本で20分間以上の検査を行うことが望ましい。マラリアが疑われる症例では、血液塗抹検査が陰性であった場合でも1日1回以上、3日間は検査を繰り返す必要がある。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 高齢者では壮年期の成人と比較して重症化しやすく、致命率も高いため注意を要する。 エビデンス 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

マラリアの確定診断
  1. 早期診断、早期治療につながるように、疑い症例では積極的にギムザ染色による血液塗抹検査を施行する(施行できる施設へ紹介する)。
  1. 利用可能であれば、補助診断として迅速診断検査やPCR検査が感度が高いため有用である。
  1. 免疫クロマトグラフィー法やELISA法を用いた迅速診断検査、PCR検査は体外診断用医薬品であり、施行するには診療経験の豊富な医療・研究機関に相談する必要がある。
〇 早期診断、早期治療につながるように、疑い症例では積極的に下記を施行する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

マラリア診断・治療のアルゴリズム
マラリア原虫の生活環
予想される国別マラリア発生率の変化(2000~2015年)
熱帯熱マラリア、三日熱マラリアの血液塗抹標本所見
重症熱帯熱マラリアの所見と頻度
日本で使用可能な抗マラリア薬
メフロキン耐性マラリアを認める地域
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05


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