Q熱 :トップ    
監修: 細川直登 亀田総合病院
高橋洋 坂総合病院 呼吸器科・感染症科

概要

疾患のポイント:
  1. Q熱とは、病原菌Coxiella burnetiiによる動物由来感染症であり、多様な動物種が本菌を保菌してヒトへの感染源となる。国内では市中肺炎の原因のうち2~4%程度を占める疾患と考えられている。 エビデンス 
  1. 急性Q熱は予後良好の疾患である。Coxiella burnetiiに曝露された症例のうちで半数は不顕性感染、4割がインフルエンザ様の一過性の発熱、残る数%が肺炎や肝炎、不明熱など比較的重症な病型を呈する。病像はおおむね非特異的であり、その臨床像や一般検査所見のみから本症を診断することは困難である。
  1. 症状が6カ月以上持続する場合慢性Q熱の可能性を考慮する。慢性Q熱は主として心内膜炎の病型を認める、治療抵抗性で予後不良の疾患である。
  1. Q熱の発症経過と諸病型:アルゴリズム
  1. 国内では4類感染症であり診断時には届出が必要である。
 
診断: >詳細情報 
  1. 急性Q熱の臨床像は非特異的であるが、あえていえば動物との接触機会、インフルエンザ様の全身症状を呈するが呼吸器症状は穏やか、肝障害の併発、βラクタム薬無効、といったキーワードが本症を疑う糸口となり得る。また季節外れのインフルエンザ様症状を呈する症例には注意が必要である。全体の7割で動物との接触機会が確認できるが、接触機会を認めない症例でも発症することがある。
  1. 急性Q熱は、コクシエラⅡ相菌IgG抗体価の有意上昇が経時的に確認された場合に診断される。
  1. 国内発症例は抗体価の上昇が緩やかな場合が多く、抗体価は長めに追跡(2カ月程度)することが望ましい。
  1. IgM抗体価および遺伝子検査(PCR)も補助診断指標をして有用である。
  1. 慢性Q熱では、コクシエラⅠ相菌抗体価の持続高値が診断指標となる。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 急性Q熱による肺炎、髄膜炎、多臓器不全例などではまれに死亡例も報告されているが、死亡率1~2%と予後はおおむね良好である。肺炎、肝炎など主な罹患臓器疾患としての重症度の合併症評価のための検査が必要である。急性感染例のうち数%が後に慢性Q熱に移行する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

Q熱診断のための検査例
  1. ペア血清でⅡ相菌IgG抗体価の有意上昇を確認できれば確定診断となる。IgG抗体は256倍以上で陽性と、IgM抗体は、64倍以上で陽性と判定する。PCRは、研究機関に依頼が必要である。
  1. 補助指標としてはPCR、Ⅱ相菌IgM抗体価も有用である。
  1. これらの評価は、コマーシャルラボでの検査が行われておらず、研究機関への依頼が必要である。
○ 急性Q熱が疑われる症例ではQ熱Ⅱ相菌抗体価を測定する。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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Q熱の発症経過と諸病型
病原体Coxiellaのヒトへの感染経路
著者校正/監修レビュー済
2018/02/28


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