音響外傷、騒音性難聴 :トップ    
監修: 森山寛 東京慈恵会医科大学附属病院
和田哲郎 原晃 筑波大学 耳鼻咽喉科

概要

疾患のポイント:
  1. 過度に大きな音は聴覚に障害を与える。音響性聴器障害は原因となる音の大きさと曝露時間によって発症様式が異なり、急性音響性聴器障害(音響外傷など)と慢性音響性聴器障害(騒音性難聴)に分けられる。両者は、原因となる音響のレベル、難聴の経過、必要とされる対応などがまったく異なり、区別して考えなければならない。なお、慢性音響性聴器障害は騒音性難聴と同義である。
  1. 急性音響性難聴では、おおよそ110 dB(A)以上の強大音にある程度の時間曝露された後、聴覚が障害される。騒音性難聴では、おおよそ85 dB(A)以上の騒音に1日8時間曝露されたとして、5~15年の経過の後に発症する。
 
診断:アルゴリズム >詳細情報 
  1. 音響外傷:
  1. 音響に曝露歴を認める感音難聴(あるいは混合性難聴)であることにより診断する。補充現象の有無から内耳性難聴であることが示せればより望ましい。
  1. 爆発などが原因の聴覚障害の場合、強大音による音響外傷か、圧力変化による外リンパ瘻かの鑑別が必要になる。
  1. 負荷音響が必ずしも十分に強大ではないとき、あるいは時間経過に疑問があるときなどには、音響以外の原因の除外が必要である。突発性難聴、あるいは聴神経腫瘍などによる突発難聴が生じた可能性もまれではあるが念頭に置き、MRIなど精査のうえ、鑑別を進めるべきである。
  1. 騒音性難聴:
  1. 前駆期には4 kHz付近の限局した聴力障害が起こる。いわゆるc5 dip(<図表>)を両側に認めたら強く疑う。
  1. ただし、4 kHz dip型聴力像がすなわち騒音性難聴ではない。騒音負荷の既往がない人にもみられることがあり、騒音歴だけでなく頭部外傷の既往などについても確認が必要である。
  1. その感音難聴を医師が騒音性難聴と診断するか否かは非常に重要な意味を持ってくるので、医学的な所見に基づき、法律的な騒音性難聴の認定基準を踏まえて診断する必要がある。特に騒音作業を認めるときは、将来的に労災認定の根拠あるいは事業主に対する訴訟の根拠とされる可能性も念頭に置く。(参考:「騒音性難聴の認定基準について」 >詳細情報 )

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時検査
  1. 標準純音聴力検査による難聴の程度と聴力型を確認する。
○ すべての症状に1)を行う。感音難聴を確認後、内耳性難聴の鑑別を行うために2)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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アルゴリズム
平均聴力レベルに基づく管理区分
c5 dip(4 kHz dip型聴力像)
著者校正/監修レビュー済
2016/06/10