鼻性髄液漏 :トップ    
監修: 森山寛 東京慈恵会医科大学附属病院
松脇由典 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

概要

疾患のポイント:
  1. 鼻性髄液漏の存在は、鼻副鼻腔と頭蓋内の交通を意味し、髄膜炎をはじめとする頭蓋内感染症を引き起こす可能性があり早急な診断と治療を要する。
  1. 鼻性髄液漏は大きく外傷性と非外傷性に分類される。外傷性はその原因により、頭部外傷性と手術外傷性に分類される。非外傷性は、頭蓋底腫瘍に伴うもの、先天性、特発性に分類される。
 
診断: >詳細情報 
  1. 水様性鼻漏の採取、検査して、テステープにより糖強陽性あるいはグルコース含有量が30 mg/ml以上であった場合に髄液漏を疑い、β-2トランスフェリンが陽性であった場合、髄液漏と診断できる。
  1. 参考所見として、鼻副鼻腔CT(前額断、矢状断)にて頭蓋底の骨欠損や髄液の貯留した部位に副鼻腔陰影を認める。
  1. 診断に難渋した場合は、脳槽シンチグラフィを行うときもある。
  1. 鼻副鼻腔CT所見:<図表>
  1. 鼻副鼻腔MRI所見:<図表>
  1. 脳槽シンチグラフィ所見:<図表>
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 髄膜炎や髄膜脳瘤の発症する可能性があるため、より早期の閉鎖が求められる。
  1. 頭蓋内感染症(髄膜炎)を合併していることが多く、脳機能障害の後遺症を残す恐れがある。
 
治療:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. 頭部外傷性急性期の場合に限り保存的治療の対象となる。頭蓋内感染予防のため、髄液移行性のよい広域スペクトラム抗菌薬(第3世代セフェム)を用いる。なお、保存治療中は鼻かみは厳禁である。
  1. それ以外の場合は診断がつき次第、整復術を施行すべきである。内視鏡下鼻内整復術により閉鎖成功率の向上が謳われている。
  1. ナビゲーションシステムによる漏孔部位確認:<図表>
  1. 多重閉鎖術(multi layer sealing):<図表>
  1. 鼻中隔有茎粘膜弁(nasal septal flap)の作成と閉鎖法:<図表>
  1. 再建手術(フロ栓式閉鎖法)(bath-plug closure):<図表>
 
専門医への紹介: >詳細情報 
  1. 通常、全症例を耳鼻咽喉科専門医あるいは脳神経外科専門医に紹介する。
 
臨床のポイント:
  1. 髄膜炎を惹起する可能性があり、早期の診断と的確な治療を要する。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時検査と初期治療例
  1. 水様性鼻漏を採取し、β-2トランスフェリン濃度、テステープによる糖含有の判定、グルコース濃度を検査する。鼻内内視鏡検査により、おおまかな部位的診断と流出髄液量を把握する。以上により髄液漏を疑った場合、鼻副鼻腔CT、鼻副鼻腔MRIの両方を施行する。
  1. 鼻性髄液漏と診断した場合、まず鼻かみ禁止を指示し、可及的速やかな入院のオーダーと全身状態の把握をする。ルートキープをし頭蓋内感染予防のため抗菌薬の投与を行う。
○ 1)~4)にて評価し、感染予防目的で5)を投与する。
1)
水様性鼻漏を採取、検査(β-2トランスフェリン濃度、テステープによる糖含有の判定、グルコース濃度) 症例 
2)
鼻内内視鏡検査 症例 
3)
鼻副鼻腔CT 症例 
4)
鼻副鼻腔MRI 症例 
5)
セファメジンα注射用[2g] 1回2g, 1日2回 症例  [髄液鼻漏は適用外/他適用用量内/㊜敗血症](編集部注:想定する適用病名「髄液鼻漏」/2015年7月)
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薬理情報 抗菌薬 >抗菌薬(セフェム系 第1世代)
同効薬一覧
要注意情報
腎注 肝可 妊B 乳可 児量[有]

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

鼻性髄液漏治療のアルゴリズム
鼻内内視鏡所見
鼻副鼻腔CT
鼻副鼻腔MRI
脳槽シンチグラフィ
ナビゲーションシステムによる漏孔部位確認
多重閉鎖術(multi layer sealing)
漏孔が大きい手術外傷性髄液漏症例への多重閉鎖術の実際と術後経過
細菌性髄膜炎における初期治療の標準的選択
鼻性髄液漏のルート
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01


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