側頭骨骨折・外傷性耳性髄液漏 :トップ    
監修: 森山寛 東京慈恵会医科大学附属病院
山本裕 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室

概要

側頭骨骨折:
  1. ポイント:
  1. 側頭骨骨折は骨折線の方向により縦骨折と横骨折に大別されるが、縦骨折の頻度が高く約80%を占める。
  1. 側頭骨内の重要臓器である鼓膜、耳小骨、内耳(半規管、前庭、蝸牛)、顔面神経と頭蓋底の損傷による障害を来す可能性があるが、一般に横骨折は縦骨折に比し障害が強く予後も不良である。
  1. 診断: >詳細情報 
  1. 側頭骨骨折は骨条件高分解能側頭骨CTで確定診断に至る。
  1. 重症度評価: >詳細情報 
  1. まず、頭蓋内病変の有無を脳神経外科医とともに除外する。耳鼻咽喉科的な精査、加療はその後に行う。
  1. 外耳道出血、裂傷、鼓膜穿孔、耳小骨離断、内耳障害、外傷性耳性髄液漏、顔面神経麻痺、難聴、前庭障害、外リンパ瘻の評価を行う。
  1. 治療: >詳細情報 
  1. 頭蓋内病変がある場合は脳神経外科による治療を優先し、その後に各種障害の有無、程度、予後を精査する。
  1. 顔面神経麻痺症例、外リンパ瘻症例で高度障害例や予後不良と判断された症例では、早期に手術療法を考慮する。
  1. 鼓膜穿孔症、耳小骨離断症例では、まず6カ月から1年程度の経過観察を行い軽快がない場合、手術治療を考慮する。
 
外傷性耳性髄液漏:
  1. ポイント:
  1. 外傷性耳性髄液漏は、側頭骨骨折により頭蓋内と中耳腔との交通が生じることにより発生する。
  1. 診断: >詳細情報 
  1. 外傷性耳性髄液漏は以下の所見で診断する。
  1. 局所所見:
  1. 鼓膜穿孔、外耳道損傷部位から外耳道に流出する漿液性の液体
  1. 下向きの頭位で誘発される外鼻口から流出する漿液性の液体
  1. 鼻咽腔ファイバースコピーで確認される耳管咽頭口から流出する漿液性の液体
  1. 漿液性耳漏、鼻漏中の糖の陽性所見
  1. 側頭骨CT所見:
  1. 中頭蓋窩、後頭蓋窩の骨折所見、欠損所見
  1. 鼓室腔、乳突腔に充満する軟部組織陰影
  1. 頭蓋内の気体(気脳症)の存在<図表>
  1. 脳槽シンチグラフィ:
  1. インジウムDTPAを髄腔内に投与後、トレーサーの頭蓋外への流出をシンチカメラで撮影、もしくは耳内綿栓に流出したトレーサーをカウントにより証明する。侵襲性があるので診断に苦慮する場合に用いられる。
  1. 重症度評価: >詳細情報 
  1. 流出する髄液の量、気脳症の程度、髄膜炎の合併の有無で評価する。
  1. 治療: >詳細情報 
  1. 頭部挙上によるベッド上安静、髄液ドレナージ、抗菌薬投与による髄膜炎の防止で治療を開始する。
  1. 保存療法に抵抗する症例に手術治療を適応する。
 
臨床のポイント:
  1. 縦骨折の頻度が高い。
  1. 横骨折では縦骨折に比し重症であることが多い。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時検査例
  1. 頭蓋内病変の有無、骨折の程度と部位、髄液漏の有無をまず評価する。
○ まず1)2)を施行、耳漏、鼻漏があれば3)を、全身状態が許せば4)を行う。
1)
頭部CT
2)
側頭骨高分解能CT検査  症例  症例  症例 
3)
耳漏、鼻漏糖テステープ検査
4)
純音聴力検査  症例  症例 

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

側頭骨骨折、外傷性耳性髄液漏の診断、治療の流れ
縦骨折と横骨折
骨折による外耳道の段差と鼓室内血腫
CT上の骨折線と軟部組織陰影
骨折後の気脳
側頭骨骨折のCT所見
著者校正/監修レビュー済
2016/06/10