今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山本裕 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学教室

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2021/11/02
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)

概要・推奨   

  1. 側頭骨骨折による顔面神経麻痺症例には、まずステロイド薬投与を行い、予後判定の結果不良と判断される場合、顔面神経減荷術の施行を検討する(推奨度2)
  1. 髄液漏症例にはまず保存的治療を行い、停止の兆候がない場合は手術治療を考慮する(推奨度1)
  1. 外リンパ瘻症例でめまい、骨導閾値上昇の軽快がない場合は瘻孔閉鎖術の適応となる(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 側頭骨骨折は骨折線の方向により分類される。
  1. 骨折線が錐体骨の長軸方向に生じる縦骨折と、長軸の垂直方向に生じる横骨折に大別される。
 
縦骨折と横骨折

骨折線が錐体骨の長軸方向に平行なものは縦骨折(①)、垂直なものは横骨折(②)と分類される。実際には骨折線が複雑に走行し分類が困難なものも多い。

出典

著者提供
 
  1. 縦骨折の頻度が高く約80%を占める[1]
  1. 側頭骨内の重要臓器である鼓膜、耳小骨、内耳(半規管、前庭、蝸牛)、顔面神経および頭蓋底の損傷を来す可能性がある。
  1. 一般に横骨折は縦骨折に比し障害が強く予後も不良である。
  1. 外傷性耳性髄液漏は、側頭骨骨折により頭蓋内と中耳腔との交通が生じることにより発生する。
  1. 外耳道経由で髄液が流出する髄液耳漏のほか耳管を経由した髄液鼻漏がある。
  1. 細菌感染による髄膜炎を生じ得る。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 外傷の部位、機転

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

文献 

Merchant NM, Lieberman MC: Trauma, Schuknecht’s Pathology of the ear. Third edition(Eds. Merchant NM, Nadol JB ) PMPH-USA. Shelton; 2010. 381412.
中谷宏章、竹田泰三:外傷性顔面神経麻痺と中耳手術 2001;JONHS 17(5): 756-760.
柳原尚明、比野平恭之、兵頭 純:側頭骨骨折と内耳障害の手術治療1999;Otol Jpan 9(5):582-587.
藤村武之、北村拓朗、宇高 毅ほか: 陳旧性外傷性中耳髄液漏 耳喉頭頸2007;79(1): 61-65.
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山本裕 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:森山寛 : 未申告[2024年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2024年]

ページ上部に戻る

側頭骨骨折・外傷性耳性髄液漏

戻る