今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 内藤健晴 藤田学園常勤監事

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2022/02/16
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 図表内の用語の一部変更を行った。
  1. 症例において、推奨される治療法の変更を行った。
  1. 症例において、原因疾患と見合うよう検査結果の一部変更を行った。

概要・推奨   

  1. 咽喉頭異常感を訴え医療機関を受診する患者はガン恐怖を背景に持っているので、まずその否定が重要である。
  1. 咽喉頭局所以外にも全身的・精神的な原因のことがあるので要注意。
  1. 胃食道逆流症が原因として増えているので念頭に置いておく。

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 咽喉頭異常感症の定義は「咽喉頭異常感の訴えがあるにもかかわらず、通常の耳鼻咽喉科的視診で訴えに見合うだけの異常所見を局所に認めないもの」とされているが、一方、咽喉頭異常感症は1つの症候名にすぎず、後日振り返えると、種々の原因疾患が発見されるものも含められるとされる。以上より、精査しても明確な所見を見いだせないものを真性の咽喉頭異常感症とし、原因となる器質的変化を後に明確にできたものを症候性の咽喉頭異常感症としている[1]
  1. 「咽喉頭に何かつかえる感じ」などの不定愁訴を訴え耳鼻咽喉科を受診する患者の頻度は、我々の研究では1984年には新患患者の4.3%であったが、1997年では5.8%であり、年々増加傾向にある[2]
  1. 男女比では4:6で女性に多く、年齢分布では男性は30歳代に女性は50歳代にピークがみられた。
  1. 患者の約半数は前医があり、ドクターショッピングの傾向がみられた。多くの例が「なんでもない」「気にしすぎ」「神経質」といわれ、医師に不信感を持つものもいる。
  1. 患者の多くが悪性腫瘍を心配して来院する。
  1. 咽喉頭異常感患者のうち悪性腫瘍の頻度は1~数%[3]といわれているが、咽喉頭異常感を主訴とした咽頭・喉頭の悪性腫瘍は15~50%に及ぶ[4]。決して見落としてはならない。
 
咽喉頭異常感と頭頚部悪性腫瘍

頭頚部悪性腫瘍には咽喉頭異常感を訴える症例が多い。

出典

山下公一、宮崎 巨:咽喉頭異常感症に対する内視鏡検査.JOHNS 1999;15:190.
問診・診察のポイント  
 
  1. 咽喉頭異常感の原因は局所的原因、全身的原因、精神的原因に大別される。診断には種々の検査が必要である[2]。程度の差こそあれ心因が関与しており、癌不安患者も多い[5]
 
 
 
  1. 精神的関与のアプローチは、質問紙法による心理テストが有用である[6]
 
 
  1. 病歴(発症様式、発症時の心身的状態、かぜのあと、カプセルを飲んだあと、知人の死亡や職場でのストレス)を聴取する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
内藤健晴 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:森山寛 : 未申告[2024年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2024年]

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咽喉頭異常感

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