上位頚椎の病変 :トップ 監修:酒井昭典 産業医科大学整形外科学教室
古矢丈雄1) 山崎正志2) 1)千葉大学大学院医学研究院整形外科学 2)筑波大学医学医療系整形外科

概要

疾患のポイント:
  1. 上位頚椎の病変とは、後頭骨から第1頚椎(環椎)、第2頚椎(軸椎)に生じる病変をいう。単なる加齢変性によるものは少なく、外傷、関節リウマチ、先天性奇形などの素因が存在する。
  1. 画像検査上病変が認められても無症状のことも多いが、以下の症状を訴えることがある。
  1. 頚が痛い、頚を動かしにくい。(局所症状)
  1. 手足がしびれる、動かしにくい。(脊髄症状)
  1. 飲み込みにくい、顔の感覚がおかしい、しゃっくりが出る、ものが二重に見える、生あくびが出る。(延髄刺激症状)
  1. しゃべりにくい、歩きにくい。(小脳症状)
  1. めまいが起きたり失神することがある。(椎骨動脈循環障害)
 
症状治療・診断的治療: >詳細情報 
  1. 頚部痛に対し安静(臥床安静や頚椎カラー)、入浴・ホットパックなどの温熱療法、牽引、消炎鎮痛薬・筋弛緩薬・鎮静薬などの薬剤投与がある。
  1. 神経症状を有する際、手術療法が検討される。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 画像検査での異常所見、遷延する痛み、神経症状を有する場合は、整形外科または脳神経外科の脊椎脊髄外科専門医への相談を考慮する必要がある。
 
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 )
  1. 単なる加齢変性によるものは少なく、外傷、関節リウマチ、先天性奇形などの素因が存在することが多い。従って、外傷歴、関節リウマチの病歴、先天性奇形の素因などを評価する。
  1. 視診、問診、および神経学的診察を行う。特に、頚椎病変の症状である、局所症状、脊髄症状、延髄刺激症状、小脳症状、椎骨動脈循環障害などの有無をそれぞれ確認する。
  1. 通常、頚椎X線検査を行い、さらに、必要に応じ、頚椎CT、頚椎MRI検査を追加し、診断確定する。
 
鑑別疾患:(鑑別疾患のリスト: 鑑別疾患 )
  1. 下記の疾患が頻度の高い疾患、重篤な疾患、まれな疾患である。
  1. 頻度の高い疾患:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

評価・治療例
  1. 評価:
  1. ポイント:
  1. 頚椎X線、頚椎CT、頚椎MRI検査にて評価を行う。まず頚椎X線検査にて評価を行い、必要に応じて頚椎CT、頚椎MRI検査を追加し、診断を確定する。
  1. 頚椎X線:
  1. 正面像、側面像(中間位)、側面像(前屈位・後屈位)の4方向を施行する。上位頚椎の病変では正面像開口位も有用なことも多い。
  1. 頚椎CT:
  1. 変形が強くX線にて評価困難な場合、X線で異常所見があり詳細な評価を施行したい場合に追加する。任意の水平断・矢状断・冠状断・3D再構築像が有用なことが多い。
  1. 頚椎MRI:
  1. 脊髄症を有する、または疑う場合に追加し、脊髄の圧排の有無を確認する。外傷の場合、脊髄損傷や軟部組織損傷の評価を行う。また、歯突起後方偽腫瘍、環軸関節症、炎症性疾患、脊髄空洞症腫瘍性疾患等の診断にも有用である。
  1. 頭頚部MRアンギオグラフィ、CTアンギオグラフィ: 
  1. 頭頚部血管損傷、奇形、血流障害を疑う場合施行する。
  1. 治療:
  1. 神経症状を有するか神経学的診察で異常所見を認め、画像検査で異常所見がある場合:
  1. 手術を検討する。
  1. 症状は局所の痛みのみだが、画像検査で異常所見がある場合:
  1. 保存加療を行う。保存療法には、投薬、局所注射、頚椎軟性カラー、フィラデルフィアカラー、アドフィットカラー、アドフィットブレース、ハローベスト、グリソン牽引、頭蓋直達牽引などがある。
  1. 痛みが遷延する場合、保存療法にて骨癒合が得られにくいと判断されるタイプの骨折や脊髄の圧排がみられる脊髄腫瘍等、疾患により手術を検討する。
  1. 無症状だが、画像検査で異常所見がある場合:
  1. 外来定期診察を行う。ただし、脊髄の圧排がみられる脊髄腫瘍等、疾患により早期から手術を検討することがある。
○ 診断では通常、1)2)をまず行う。必要に応じ3)、4) 、5) を行う。保存療法としては頚部痛や頭痛が強い例では6)、7)、8)のいずれか、または併用を行う。

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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

上位頚椎の病変の診療の流れ
上位頚椎の病変の診断
上位頚椎の病変の治療方針の概要
環椎骨折
歯突起骨折(Anderson分類)
外傷性軸椎すべり(Levine分類)
著者校正/監修レビュー済
2016/11/30


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