三尖弁閉鎖不全 :トップ    
監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門
宇野漢成 東京大学 22世紀医療センター コンピューター画像診断学/予防医学講座

概要

疾患のポイント:
  1. 三尖弁閉鎖不全症(tricuspid regurgitation、TR)は、収縮期に右室から右房に血液が逆流する疾患である。軽度のTRは病的意味がなく、健常者でもよくみられる。
  1. 右室拡大の原因疾患が存在し、その多くは左心系疾患による二次性のもの。右室拡大が乳頭筋偏在を介して三尖弁のtetheringを来し、さらに三尖弁輪拡大も加わった結果、三尖弁の接合不全が発生し、二次性のTRが起きる。日常臨床で遭遇するTRの圧倒的多数はこの二次性TRである。
  1. その他の二次性TRの原因:肺高血圧のある疾患(右室の圧負荷)、左→右シャントを有する先天性心疾患(右室の容量負荷)、右室心筋症や右室梗塞による右室拡大(右室の収縮低下)、ペースメーカーのリード゙による三尖弁の開閉障害。
  1. 慢性心房細動は右房拡大→三尖弁輪拡大を来し、TRの促進因子である。
  1. 一次性TR(弁の異常):Ebstein奇形、外傷による三尖弁の腱索断裂(<動画>)、感染性心内膜炎、リウマチ熱(現在の日本ではまれ)。
 
診断: >詳細情報 
  1. カラードプラー心エコー図で収縮期に右室から右房に逆流する血液信号を認めたらTRと診断する。<動画><動画>
  1. 臨床診療上意義があるのは、右室拡大を伴う(=容量負荷がある)TRである。
  1. 三尖弁に異常はなく、右室と三尖弁輪拡大を認めたら二次性TRと診断する。
 
重症度評価: >詳細情報 
  1. 基本は、軽度、中等度、重度の3段階で評価する。
  1. 断層エコーによる右心系の大きさの評価、カラードプラーとパルス・連続波ドプラーによる半定量的評価法もある。
 
治療: >詳細情報 
  1. 基礎疾患となる左心系疾患と肺高血圧の治療を優先する。 エビデンス 
  1. 左心系の手術が予定されている場合は、同時手術の可…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時の心エコーによる心機能評価例
  1. 心機能評価は心不全をみる際、最も基本的な検査である。カテーテルで圧を測っても、その圧を作り出している心臓の状況がわかっていないと、最善の治療ができない。心エコーで血行動態と心臓の構造を両方評価することが重要である。
○重症度、臓器障害の評価のため、下記の検査を考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

症例1:リウマチMSによる二次性重症TRの肝静脈血流波形
症例2:外傷による三尖弁逸脱の重症TRのパルスドプラー波形
弁接合不全による重症TR
著者校正/監修レビュー済
2018/07/04