ヘモクロマトーシス :トップ    
監修: 金子周一 金沢大学大学院
吉岡健太郎 藤田保健衛生大学 肝胆膵内科

概要

疾患のポイント:
  1. ヘモクロマトーシスとは、全身臓器の実質細胞に鉄が蓄積し、臓器障害を来す疾患である。肝腫大、皮膚色素沈着、糖尿病、心筋障害、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症、下垂体機能低下症、肝硬変、肝癌、腹痛、関節症などを来す。
  1. 遺伝性と後天性があり、遺伝性ヘモクロマトーシスは白人では最も頻度の高い遺伝子性疾患であるが、わが国では希少疾患である。再生不良性貧血や骨髄異形成症候群など難治性貧血の治療のために赤血球輸血を繰り返すことで後天性ヘモクロマトーシスを発症する。
  1. 男性に多く、発症年齢は病型によるが、男性で50歳、女性では月経や出産で鉄を失うために10年遅い。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断は血清鉄、トランスフェリン飽和率、血清フェリチンの上昇により疑い、肝や骨髄生検により鉄沈着を証明し診断する。
  1. 血清鉄上昇(180μg/dl以上)
  1. トランスフェリン飽和度上昇(60%以上)
  1. 血清フェリチンの著明上昇(500ng/ml以上)
  1. 肝生検、骨髄生検により組織への鉄沈着を確認
  1. 肝CT値上昇、MRIでは肝T1、T2強調像での信号強度の低下を認める。
  1. 腹部超音波検査で肝硬変、肝癌の有無を調べる。

重症度・予後: >詳細情報 
  1. 原発性肝癌が15~30%にみられるため、評価が必要である。また、肝硬変、心不全、不整脈を合併することがある。
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療は瀉血である。週1~2回400gの瀉血(鉄200mg)をする。ヘモグロビン値は11g/dl、フェリチン値10ng/mlを目標とする。(瀉血の効果: エビデンス )
  1. 瀉血のできない症例にはキレート剤のデフェロキサミン注射、デフェラシロクス内服がある。デフェラシロクスは経口キレート薬で、利便性が高いが保険適用上注射や頻繁な通院治療が困難な場合のみなどの縛りがある。(キレートの効果: 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時ヘモクロマトーシスを診断するために行う検査例
  1. 血清鉄上昇(180μg/dl以上)、トランスフェリン飽和度上昇(60%以上)、血清フェリチンの著明上昇(500ng/ml以上)、肝生検、骨髄生検により組織への鉄沈着を確認し、確定診断する。
○ 特異な症状、非特異的な全身症状、無症状だが血液検査や家族歴からヘモクロマトーシスを想定し、検査を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

遺伝性ヘモクロマトーシスの診断アルゴリズム
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著者校正/監修レビュー済
2016/04/22