過敏性肺炎 :トップ    
監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座
宮崎泰成 東京医科歯科大学医歯学総合研究科呼吸器内科

概要

疾患のまとめ:
  1. 過敏性肺炎とは、特定の抗原(鳥由来の蛋白や真菌など)を吸入して起こる免疫反応が原因のアレルギー性間質性肺炎である。
  1. 環境中の抗原が原因となるので、間欠的に呼吸器症状や全身症状を呈する患者や、他の間質性肺炎で説明のつかない進行を示す患者、あるいは改善しない肺炎像を呈する患者を診たときに本疾患を疑う。
  1. 原因抗原の種類により季節性があることがポイントである。夏型過敏性肺炎は、真菌が原因なので夏から秋にかけて発症することが多く、夏風邪と勘違いされていることがある。一方、加湿器肺や羽毛布団肺は冬に発症することが多い。
 
診断: >詳細情報 
  1. 間質性肺炎の鑑別診断の1つとして診断される。特異抗体、リンパ球刺激試験などの免疫学的検査や抗原吸入誘発試験の陽性所見が役に立つ。画像、病理も診断を示唆する検査となる。
  1. 過敏性肺炎診断フローチャートアルゴリズム
  1. CT画像所見:小葉中心性の粒状影、汎小葉性のスリガラス影、モザイクパターン(急性)。上肺野にも病変を認めることが多い(慢性)。
  1. 病理所見:リンパ球性胞隔炎、粗な肉芽腫、細気管支領域の病変(急性)。多彩な病理パターン(慢性)。
  1. 診断が難しい症例は、抗原回避目的、気管支鏡検査や外科的肺生検などで入院することもある。
  1. 急性過敏性肺炎の胸部CT写真:<図表>
  1. 慢性過敏性肺炎の胸部CT写真:<図表>
 
原因評価:
  1. 原因となる抗原を推定のために、患者本人から自宅および職場環境の情報を得る。
  1. 原因として多い真菌のトリコスポロンの培養検査、落下真菌培養も参考になる。鳥関連抗原に関しては、鳥の飼育、羽毛布団の使用などを評価する。
  1. 過敏性肺炎の原因抗原を特定するために、抗原吸入誘発試験あるいは環境誘発試験が必要となることもある。ただし、原病が増悪する可能性があるので、経験豊富な施設での施行が望ましい。 エビデンス 
  1. 抗原となるものには、細菌、真菌、アメーバ、動物由来の蛋白および化学物質がある。抗原の種類は、100以上ある。 エビデンス 
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 慢性の重症度は、特発性間質性肺炎の重症度分類に準ずる。安静時動脈血ガスと6分間歩行時SpO2最低値で判定する。
  1. 重症度:<図表>

治療: >詳細情報 
  1. 急性過敏性肺炎の治療は、抗原回避が基本である。中等症以上の症例では短期間、4週間程度のステロイド治療を行う。 エビデンス   エビデンス 
  1. 慢性過敏性肺炎の治療も、抗原回避が基本である。ステロイド治療の有効性は確立されていない。 エビデンス   エビデンス 
  1. 慢性過敏性肺炎は、肺癌を高率に合併するため定期的な評価が必要である。 エビデンス 
  1. 治療フローチャートアルゴリズム
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 間質性肺炎の診断と治療に関しては、最初から専門医に相談するほうが望ましい。
 
臨床のポイント
  1. 過敏性肺炎は、特定の抗原を吸入することによって発症するアレルギー性の間質性肺炎である。原因抗原の種類により、季節性がある。
  1. 治療は、原因抗原の回避が基本である。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. 病歴、画像、病理から本疾患を疑ったときに行う検査例
○ 1)~4)は一般的な検査なのですべて行う。5)は自費検査であるが患者と相談し、可能な限り行う。6)は保険適用あり。7)はハト血漿で外注オーダー可能であるが、自費の検査となる。8)の環境誘発試験あるいは抗原回避試験のための入院はどの施設でも可能だが抗原は特定されない。抗原吸入誘発試験は一部の施設でのみ施行可能である。環境誘発試験あるいは抗原回避試験は診断に有用、抗原特定には5)、6)が重要である。
1)
2)
肺機能検査: VC, FEV1, DLco
3)
胸部X線
4)
胸部CT
5)
特異抗体検査:鳥関連(サーモフィッシャー社、イムノキャップ)
6)
特異抗体検査:真菌(シノテスト社、トリコスポロン・アサヒ)
7)
リンパ球刺激試験
8)
環境誘発試験、抗原回避試験、抗原吸入誘発試験  エビデンス 
9)
抗核抗体[FA], 抗DNA抗体[RIA], RAテスト, 抗CCP抗体, 抗Jo1抗体, 抗SS-A/Ro抗体[ELISA], SS-B抗体, 抗SCL70Ab[ELISA], 抗RNP抗体[ELISA], ACE, リゾチーム, IgG, IgM, IgA, MPO ANCA
10)
気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄、経気管支肺生検)
11)
自宅・職場環境調査

急性過敏性肺炎の治療例
  1. 抗原回避を行う。環境調査を行い、住居や職場の抗原を排除する。転居が必要になる場合も多い。
  1. 低酸素血症を伴うような中等症以上の症例では、ステロイドを短期間使用する。
○ 1)は必ず行う。1)でも改善が悪い場合、2)を選択する。
1)
抗原回避
2)
プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 20~40mgから開始。漸減し、4週間程度内服。  エビデンス  [適用内/用量内/㊜間質性肺炎](編集部注:想定する適用病名「間質性肺炎」/2015年11月)
薬剤情報を見る
薬理情報 内分泌疾患用薬 >副腎皮質ステロイド薬
同効薬一覧
要注意情報
腎注 肝注 妊C 乳注 児量[有]

慢性過敏性肺炎の治療例
  1. 抗原回避は基本である。抗原回避が不十分だと薬物治療を行っても進行することがあるので注意。
  1. それでも線維化が進行し、肺機能検査が悪化する場合は、ステロイドを開始し、免疫抑制薬の併用も考慮する。
○ 抗原回避を買う実に行ったうえで、ステロイド薬(and/or)ネオーラルを使用する。
1)
抗原回避
2)
プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 0.5mg/kg/日2~4週おきに5mg減量し、3カ月後に効果判定  エビデンス  [適用内/用量内/㊜間質性肺炎](編集部注:想定する適用病名「過敏性肺炎、間質性肺炎」/2015年11月)
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薬理情報 内分泌疾患用薬 >副腎皮質ステロイド薬
同効薬一覧
要注意情報
腎注 肝注 妊C 乳注 児量[有]
3)
ネオーラル50mgカプセル[50mg] 3mg/kg/日 分2(トラフ値で100~150ng/ml) [過敏性肺炎は適用外/他適用用量内/㊜アトピー性皮膚炎]
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薬理情報 抗免疫薬・アレルギー疾患治療薬 >カルシニューリン阻害薬
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要注意情報

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

過敏性肺炎診断フローチャート
治療フローチャート
重症度
急性過敏性肺炎の胸部CT写真
慢性過敏性肺炎の胸部CT写真
著者校正/監修レビュー済
2017/02/28


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