電撃傷 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
大森啓子 杉田玄白記念公立小浜病院

概要

疾患のポイント:
  1. 電撃傷とは体内に高電流が流れることによって生じる損傷をいう。電流によるジュール熱が深部組織を損傷する真性電撃傷と、衣服火災などによる電気火傷(熱傷)がある。真性電撃傷では体表面の創と重症度は必ずしも一致しない。以下、真性電撃傷について述べる。また雷撃症は別に考える。
  1. 交流1,000V以上を高電圧、交流1,000V未満を低電圧による損傷とする。
  1. 雷撃傷と高電圧/低電圧損傷の比較:<図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. 受傷機転で電撃傷を疑い、意識消失、中枢神経障害、末梢動脈触知不可、屈曲部位の熱傷(肘窩・腋窩・鼠径・膝窩)、ミオグロビン尿、血清CK値>1,000Uがあれば、電撃傷と診断する。
  1. 電撃傷の皮膚所見:<図表>
  1. 屈曲部位の電撃傷 kissing burn:<図表>
  1. 心電図のモニタリングの推奨基準:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 高電圧損傷(>交流1,000V)、不整脈などの循環器症状、ミオグロビン尿、コンパートメント症候群を来した四肢の電撃傷は、重症と考えて対応する。
 
治療: >詳細情報 
  1. ACLS(Advanced cardiac life support)/ATLS(Advanced trauma life support)/ABLS(Advanced burn life support)にのっとって初期治療を行う。
  1. 電撃傷による熱傷・深部組織の損傷は過小評価されがちであり、バイタルサインや尿量が維持できるよう輸液量を管理する。また、高電圧・低電圧損傷にかかわらず、多彩な中枢・末梢神経障害が遅発性に起こり得るため、心臓、腎臓(含む横紋筋融解症)、中枢神経系、皮膚、筋骨系、凝固系、感覚器を評価し、適宜加療を行う。特に、横紋筋融解症、心筋障害、電解質、皮膚熱傷の評価が大事である。電撃が皮内を走ることがあり、見た目よりも深いことがある。また、四肢の電撃傷ではコンパートメン…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時に大事な検査
  1. 熱傷、横紋筋融解症、心筋障害を評価することが大事である。以下に注意する。
  1. Point:熱傷 → 見た目よりも損傷が深いことに注意が必要である。
  1. Point:横紋筋融解症 → CK,BUN,Cr,Na,K,Cl、尿検査を評価する。
  1. Point:心筋障害 → 心電図 CKMB、心筋トロポニンTを評価する。
○ 電撃傷の病歴の場合は、原則下記の検査をスクリーニングする必要がある。特に熱傷に加え、横紋筋融解症、心筋障害に注目する。1)、4)~7)は必須である。2)3)8)はルーチンとして考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

電撃傷診療のアルゴリズム
雷撃傷と高電圧/低電圧損傷の比較
屈曲部位の電撃傷 kissing burn
Artzの診断基準
熱傷専門施設への搬送基準
電撃傷の皮膚所見
小児の口唇低電圧損傷
著者校正/監修レビュー済
2017/01/26