今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 遠藤拓郎 国際医療福祉大学医学部救急医学

監修: 志賀隆 国際医療福祉大学 医学部救急医学/国際医療福祉大学成田病院 救急科

著者校正/監修レビュー済:2021/12/15
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 2021年秋の改訂では、熱傷診療ガイドライン 改訂第 3 版(2021年7月)から、特にCQ8特殊熱傷の電撃症の該当部分を追加した。熱傷診療ガイドラインでは、これまで電撃傷の項目は含まれていなかったが、改訂第3版においては、電撃症の受傷早期の管理、治療に焦点を絞ったCQとして、CQ8-1モニタリングの必要性、8-2減張切開の必要性についての検討内容が含まれたので、その内容を反映した。

概要・推奨   

  1. 電撃傷とは体内に高電流が流れることによって生じる損傷をいう。電流によるジュール熱が深部組織を損傷する「真性電撃傷」と、衣服火災などによる「電気火傷(熱傷)」がある。
  1. 真性電撃傷の患者における心筋損傷において、CK/CK-MBやトロポニンなどの心筋バイオマーカーは参考とし、他の臨床所見とあわせて診断することが推奨される(推奨度1)
  1. 電撃傷の患者で意識消失や不整脈が見られた場合には、心電図所見で虚血を疑う場合には、心電図の継続モニタリングが推奨される(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. わが国での詳細な報告はないが、米国では電撃傷での入院患者数は、全熱傷入院患者の約3%に当たる約3,000人/年であり、約1,000人/年が死亡している[1]
  1. 約2/3が建設業・電気事業就労者である[1]
  1. 体内に高電流が流れることによって生じる損傷をいう。電流によるジュール熱が深部組織を損傷する真性電撃傷と、衣服火災などによる電気火傷(熱傷)がある。真性電撃傷では体表面の創と重症度は必ずしも一致しない[2]
  1. 交流1,000V以上を高電圧、交流1,000V未満を低電圧による損傷とする[3]。また雷撃傷は別に考える。
 
雷撃傷と高電圧/低電圧損傷の比較

それぞれで臨床症状が異なるため受傷機転、電圧量の確認が必要となる。

出典

Tintinalli’s Emergency Medcine: A Comprehensive Study Guide, 7th edition. McGraw-Hill Education, 2010;1392
 
電撃傷の損傷機序

感電。高エネルギー電撃に伴う様々な損傷機序。1,000Vを超える電圧の(アークによる)感電は、まず機械的な接触から始まる。接触点の高温により全層熱傷が生じる。次に、電流が四肢を通過することで、筋肉と神経膜が電気的に破壊される。数秒間にわたる接触では、重度の深部熱傷が生じる。高エネルギーのアークによる感電では、鈍的外傷を引き起こす衝撃波をもたらす。

 
  1. 以降、「真性電撃傷」について記載する。
問診・診察のポイント  
  1. 電流斑(電流出入口部の潰瘍、炭化・凝固壊死)を形成することがある(<図表>)が、電流出入口部の抵抗と接触面積により創の程度は異なるため、重症度は創の大きさに一致しない。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
遠藤拓郎 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:志賀隆 : 特に申告事項無し[2025年]

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電撃傷

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