HIV患者のPneumocystis肺炎 :トップ    
監修: 味澤篤 東京都立北療育医療センター
柳澤如樹 ハーバード公衆衛生大学院

概要

疾患のポイント: >詳細情報 
  1. ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia、PCP)とは、Pneumocystis jiroveciiによって引き起こされる肺炎で、亜急性の経過をたどる労作時の呼吸困難、発熱、乾性咳嗽を来す疾患である。
  1. なお、Pneumocystis jiroveciiは真菌であり、空気感染を来すことが知られている。潜伏期間は4~8週間ほどで4歳までに75%がPneumocystis jiroveciiに不顕性感染しているとの報告もある。
  1. HIV感染者が発症する日和見感染症のなかで最も頻度が高い疾患であり、CD4陽性リンパ球数が200/µl以下で発病するリスクが高くなることが知られている。 エビデンス 
  1. 抗ウイルス治療の導入により、HIV患者のPCPの発症率は、0.9~1.9症例/100症例/年に減少している。
 
診断:アルゴリズム  >詳細情報 
  1. HIV感染者でCD4陽性リンパ球数<200/µlを認める患者が、呼吸苦、咳などを発症した場合に想起する。8割程度が咳、呼吸苦、発熱を認める(各症状の頻度: >詳細情報 )。
  1. 病歴、胸部X線所見、CT所見などから総合的判断し診断となる。また、PCPの確定診断のためには誘発喀痰、気管支肺胞洗浄液や組織から、病理組織学的に病原体を検出する必要がある。
  1. 血液検査では、LDHやKL-6の上昇が認められることが多い。また、多くの例でβ-Dグルカンの上昇が認められる。(β-Dグルカン≥ 400 pg/mLとLDH≥ 350 U/lの結果は、感度92.8%、特異度83.9%の診断特性を持つ。
  1. 胸部単純X線写真では、両側性対称性に肺門から末梢に広がるびまん性のすりガラス影が典型像である。胸部CTで、胸膜直下に正常肺をわずかに残す(peripheral sparing)所見がPCPの特徴の1つである。
  1. PCPの胸部正面単純写真:<図表>
  1. PCPの胸部CT①:…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

PCPの診断・重症度評価に必要な検査例
  1. PCPの確定診断および重症度を判定するためにルーチンの採血検査に追加して、β-D-グルカン、血液ガス、胸部X線、喀痰検査を行う。
○ PCPの確定診断目的で、5)-8)を、重症度・合併症評価目的で1)-7)の評価を考慮する

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

HIV感染者のPCPに対するアプローチ
PCPの胸部正面単純写真
PCPの胸部CT①
CD4陽性リンパ球数の値で考慮すべき病原微生物や疾患
画像所見で考慮すべき病原微生物や疾患
著者校正/監修レビュー済
2018/06/06

改訂のポイント:
  1. 「抗HIV治療ガイドライン2018」、「HIV感染症「治療の手引き」 第21版」に基づき確認を行った(特に新たな知見なし)。
  1. プリマキンがわが国で2016年に承認されたこと、ニューモシスチス肺炎に対して適用外使用となることにつき追記
  1. 「米国の日和見感染症ガイドライン」に基づき、新たにPCPの一次・二次予防の中止基準を追記した。


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