偽痛風

著者: 桃原茂樹 医療法人社団博恵会 草薙整形外科リウマチクリニック

監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター

著者校正/監修レビュー済:2018/04/18

概要・推奨  

疾患のポイント:
  1. 偽痛風(Pseudogout)とは、痛風に類似した関節内に結晶が析出して炎症が惹起される急性の結晶性関節炎である。
  1. 原因となる結晶はピロリン酸カルシウム(calcium pyrophosphate dihydrate、CPPD)で、血液中の無機ピロリン酸濃度は必ずしも高くないが、関節局所で過剰に存在し結晶化して沈着すると考えられている。
  1. 偽痛風は用語的には厳密には統一されておらず、狭義ではCPPD沈着による急性滑膜炎を、広義では画像上で硝子軟骨や線維軟骨の石灰化が認められる場合に使用されることが多い(軟骨石灰化症、chondrocalcinosis)。
  1. CPPD結晶沈着症は膝関節や手関節に好発するが、ほかに肩関節、足関節、あるいは椎間板や黄靱帯でも認められることがある。
  1. 男女差はなく、60歳以上で発症することが多く、高齢になるに従い発症率は高くなる。
  1. 変形性関節症を伴う加齢変化が最も重要な危険因子と考えられている。
  1. 55歳以下の若年発症例には、遺伝性や家族性、代謝性疾患である副甲状腺機能亢進症、ヘモクロマトーシス、低マグネシウム血症、低リン血症などとの関連を検討する。膝半月板切除後に膝関節に発症が増える報告もあり、外傷や手術との関連も示唆されている。
  1. 偽痛風の病因分類:<図表>
  1. CPPD結晶沈着により、軟骨破壊が急速に進行させられるとは考えられてはいない。
 
診断: >詳細情報 
  1. CPPD結晶(Ca2P2O7・2H2O)の存在を証明することが大切である。
  1. 単純X線:疼痛や腫脹を訴える関節撮影を行う。関節裂隙に石灰化像を呈する。関節面の石灰化が淡すぎて見過ごすこともあるので注意を要する。
  1. 超音波検査:関節軟骨の内部に高輝度の結晶沈着を認めることがある。
  1. (MRI):X線や超音波検査に比べて石灰化の検出感度は低く、診断にはあまり有用ではない。
  1. CT:歯突起周囲を取り巻くように冠状に石灰化沈着を認める偽痛風発作である軸椎歯突起症候群(crowned dens syndrome:CDS)の診断には、骨条件でのCTが分かりやすい。
偽痛風の病因分類
 
関節内に確認された石灰化像
 
三角線維軟骨複合体でのピロリン酸カルシウム結晶沈着(縦断像)
 
関節液中のピロリン酸カルシウム結晶
 
偏光顕微鏡下での尿酸ナトリウムの針状結晶
 
急性単関節炎の鑑別アルゴリズム
 
検査・処方例
※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例
  1. CPPD結晶(Ca2P2O7・2H2O)の存在を証明することが大切である。
  1. 偽痛風が疑われた場合には、まず局所の単純X線撮影を行い、必要に応じて超音波検査、またはCT撮影を行う。さらに関節液を採取できた場合には、関節液の性状や培養を行う。

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
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