上室期外収縮 :トップ    
監修: 永井良三 自治医科大学
蜂谷仁 土浦協同病院 循環器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 上室期外収縮とは、基本調律よりも早期に生じる上室由来の興奮波である。
  1. 期外収縮は、出現部位により心房期外収縮(atrial premature contraction、APC)、房室接合部期外収縮、心室期外収縮に大別される。前二者が上室期外収縮と呼ばれる。
  1. 心電図上の診断で注意しなければならないことは、変行伝導とBlocked APC(非伝導性心房期外収縮)である。
  1. 変行伝導は連結期の短いAPCにおいて右脚もしくは左脚に機能的ブロックが生じ、脚ブロック型QRS波形を呈する現象である。<図表>
  1. Blocked APCは、機能的ブロックにより心室への伝導が起こらない。<図表>
  1. Blocked APCや短い連結期で出現するAPCでは有効な1回心拍出量が得られず、末梢まで血流が供給されない。これらが“脈拍数が少ない”という主訴になり得ることを念頭に置かなければならない。
  1. ホルター心電図を受けたことがある健常成人で25~60%以上の頻度で認められるといわれる。
 
診断・評価: >詳細情報 
  1. 上室期外収縮と心室期外収縮の鑑別を行う。(説明:<図表>
  1. 12誘導心電図、胸部X線写真で基礎心疾患の有無をスクリーニングし、血液検査で貧血や甲状腺機能異常などの有無を確認する。基礎心疾患の存在が疑われたら心エコーをオーダーする。
 
治療:アルゴリズム >詳細情報 
  1. 基礎疾患を認めない無症状の上室期外収縮は治療対象とならない。ただし、出現数が多いほど将来の心房細動発生率が高くなるという報告( エビデンス )もあり、高齢者では半年から1年に1回の定期的フォローを考慮してもよい。 …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

有症状時の評価方法例
  1. ホルター心電図をオーダーし、上室期外収縮出現時と症状出現が一致するか、一致する場合は昼間労作時に多いか夜間安静時に多いか確認する。 エビデンス 
  1. 内服薬の確認、日常生活パターン、有症状時の場合は、その出現パターンを問診する。
  1. ホルター心電図でAPC出現の有無および有の場合、APC出現パターンを確認する。
○ 有症状時は、APCの出現パターン・治療方針の評価のため1)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

上室期外収縮の治療方針
無症状の57歳男性患者 APC出現時12誘導心電図
36歳女性患者のAPC出現時モニター心電図
36歳女性患者のAPC出現時モニター心電図
上室期外収縮と心室期外収縮の鑑別
著者校正/監修レビュー済
2016/06/10