特発性細菌性腹膜炎 :トップ    
監修: 山本舜悟 京都大学医学部附属病院 臨床研究教育・研修部
杤谷健太郎 京都大学大学院医療疫学分野

概要

疾患のポイント:
  1. 特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis、SBP)とは、外科的介入を要する腹腔内感染によらない腹水の感染と定義され、腹水培養が陽性で腹水中の多核白血球が250/mm3以上を認める。単一菌による感染がほとんどで、複数菌による感染では二次性腹膜炎を考慮する。
  1. 多くは進行した肝硬変患者で肝機能がひどく低下したときに、一過性の菌血症から腹水に細菌が播種し、腹水中で細菌が増殖する結果、SBPが起こるとされている。
  1. SBPと鑑別を有する疾患として、胃潰瘍の穿孔、急性虫垂炎の破裂、憩室炎、腸管の悪性腫瘍、腸捻転や腸間膜動脈血栓症などによる腸管壊死、急性膵炎などの腹腔内感染巣(消化管穿孔など)により生じる腹膜炎(二次性細菌性腹膜炎)が存在する。二次性細菌性腹膜炎は、多くの場合外科的治療が必要になる。
  1. SBPの亜型として、腹水中の多核白血球が250/mm3以上で腹水培養陰性の場合や、腹水中の多核白血球が250/mm3未満で、腹水細菌培養が陽性の場合などが存在する。(詳細: >詳細情報 )
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断のために、腹水の生化学検査と腹水培養をおこなう。
  1. SBPの培養陽性率を上げるためにベッドサイドで血液培養ボトル1本につき腹水を10mLづつ入れ、合計最低2ボトルを検査に提出する。必ず抗菌薬投与前に培養を提出するよう注意する( エビデンス )。腹水検査では細胞数(分画も)、アルブミン、総蛋白、培養、グラム染色、糖、LDHを提出する。
  1. なお、腹水中の多核白血球が250/mm3以上を認める場合は、SBPと二次性腹膜炎の鑑別のため、腹水の総蛋白、LDH、糖、グラム染色、CEA、ALPを検査する。その結果が、総蛋白>1g/dL、LDH>血清LDHの正常上限、腹水中の糖<50mg/dLのうち2項目以上が当てはまる場合は消化管穿孔を、CEA>5ng/mL、ALP>240U/Lのいずれかを満たす場合は二次性腹膜炎を考慮し消化管穿孔や腹腔内の感染巣の検索のために腹部造影CTを施行する。  エビデンス 
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評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時評価例
  1. 診断確定と二次性腹膜炎除外のため、腹水検査、腹水培養を行う。
  1. 二次性腹膜炎との鑑別が困難な場合は腹水再検や腹部造影CTなどを行い、総合的に判断する。
○ 診断確定と2次性腹膜炎の除外のため1)2)を行う。必要に応じて3)4)を追加する。

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著者校正/監修レビュー済
2017/05/31

編集部編集コンテンツ:
 
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