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著者: 住吉翔元 大阪大学医学部附属病院 感染制御部/感染症内科

監修: 山本舜悟 大阪大学大学院医学系研究科 変革的感染制御システム開発学

著者校正/監修レビュー済:2023/12/20
参考ガイドライン:
  1. 米国肝臓学会:AASLD. Diagnosis, Evaluation, and Management of Ascites, Spontaneous Bacterial Peritonitis and Hepatorenal Syndrome: 2021 Practice Guidance by the American Association for the Study of Liver Diseases
  1. 日本消化器病学会日本肝臓学会:肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)
  1. 欧州肝臓学会:EASL clinical practice guidelines on the management of ascites, spontaneous bacterial peritonitis, and hepatorenal syndrome in cirrhosis
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 「米国肝臓病学会ガイドライン(Diagnosis, Evaluation, and Management of Ascites, Spontaneous Bacterial Peritonitis and Hepatorenal Syndrome: 2021 Practice Guidance by the American Association for the Study of Liver Diseases)」「欧州肝臓学会ガイドライン(EASL clinical practice guidelines on the management of ascites, spontaneous bacterial peritonitis, and hepatorenal syndrome in cirrhosis)」「日本肝臓学会の肝硬変診療ガイドライン2020」に基づいてレビューを行った(大きな変更はなし)。以下、主な加筆内容である。
  1. 腹水の多核白血球が250/mm3以上あり特発性細菌性腹膜炎(SBP)が疑われる患者で、Cr > 1 mg/dL、BUN > 30 mg/dL、総ビリルビン> 5 mg/dL――のいずれかを満たす場合、米国肝臓病学会ガイドラインではアルブミン投与を推奨している。
    欧州のガイドラインでは、全てのSBP患者にアルブミン製剤使用を推奨しており、日本のガイドラインでも上記基準への強い言及は無い。2022年のメタ分析では、30日死亡率と腎障害のリスクが有意に低いことが示されている(Batool S, et al. Cureus. 2022 Dec 30;14(12):e33124.)。上記を満たさない場合にも有益性はあるかもしれない。
  1. SBPの治療として、シプロフロキサシンの経静脈的投与7日間もしくは経静脈2日間および経口投与5日間はセフォタキシムと同様の効果があったという研究や、セフォタキシム、セフトリアキソン、シプロフロキサシンの効果は同等であったという研究もあり、オフロキサシンが手に入れにくい場合などは他のキノロン系の使用も選択肢になり得ると考える(Terg R, et al. J Hepatol. 2000 Oct;33(4):564-9.、Yim HJ, et al. Am J Gastroenterol. 2023 Apr 1;118(4):654-663.)。

概要・推奨   

  1. 腹水検査のための腹腔穿刺に際して、出血予防の習慣的な新鮮凍結血漿や血小板の使用は推奨されない(推奨度3)
  1. 特発性細菌性腹膜炎を疑い腹水検査を行う際には、細胞数(分画)、アルブミン、総蛋白、一般細菌培養(血液培養ボトルを用いる)、グラム染色、必要に応じて糖、LDH、アミラーゼを提出する(推奨度1)
  1. 特発性細菌性腹膜炎(SBP)において腹水培養陽性率を上げるために抗菌薬前に培養を採取し、採取した腹水をベッドサイドで速やかに血液培養ボトルに10 mL注入する(推奨度2)
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  1. 腹水中の多核白血球が250/mm3以上あり二次性腹膜炎が疑われる場合、SBPと二次性腹膜炎の鑑別のため腹水の総蛋白、LDH、糖、グラム染色、CEA、ALPを検査する(推奨度2)
  1. 腹水中の多核白血球が250/mm3以上ある場合は速やかに経験的治療を開始する。250/mm3以下の場合でも感染徴候(38℃以上の発熱や腹痛、腹部圧痛)がある場合は、腹水の培養結果を待つ間、経験的治療を開始する(推奨度1)
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  1. 腹水の多核白血球が250/mm3以上ありSBPが疑われる患者で、血清Cr値 が1 mg/dL以上、BUN 30 mg/dL以上、総ビリルビン値 5 mg/dL以上――の3つのうちどれかを満たす場合は診断から6時間以内にアルブミン1.5 g/kgを、3日目に1.0g/kgを、経静脈的に投与する(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 特発性細菌性腹膜炎(spontaneous bacterial peritonitis、SBP)は、外科的介入を要する腹腔内感染によらない腹水の感染と定義され、腹水培養が陽性で腹水中の多核白血球が250/mm3以上といった特徴を持つ。単一菌による感染がほとんどで、複数菌による感染では二次性腹膜炎を考慮する。
  1. 心不全やネフローゼ症候群などにも起こり得るが、多くは進行した肝硬変患者で肝機能が増悪したときの症状として起こる。
  1. SBP発症には門脈圧亢進、腸内細菌の異常増殖、腸管粘膜の透過性亢進、bacterial translocation、免疫応答システムの機能低下、細網内皮系の貪食細胞活性低下、腹水の防御能低下などさまざまな要素が関わっている。一過性の菌血症から腹水に細菌が播種し、これを排除することができないため腹水中で細菌が増殖する結果、SBPが起こるとされている。
  1. SBPの亜型として以下の3つがある。
  1. CNNA(culture-negative neutrocytic ascites):腹水中の多核白血球が250/mm3以上で腹水培養陰性。臨床的特徴、予後、治療はSBPと同様。
  1. MNB(monomicrobial bacterial peritonitis):腹水中の多核白血球が250/mm3未満で、腹水細菌培養が陽性。臨床所見や症状が感染を示唆する場合、治療はSBPと同様。
  1. Polymicrobial bacterascites:腹水中の多核白血球が250/mm3未満で腹水グラム染色や腹水細菌培養で複数の細菌感染が存在。腹腔穿刺の際、誤って腸管を刺した結果として生じる。免疫状態が保たれている(腹水蛋白量正常)場合は自然治癒する。
 
  1. 二次性細菌性腹膜炎は腹水中の多核白血球が250/mm3以上で、腹水培養で複数の細菌が陽性となり、外科的介入を要する腹腔内感染巣(消化管穿孔など)により生じる。これらを区別するRunyon's criteriaでは、続発性細菌性腹膜炎の診断として、①腹水中総蛋白が1 g/dL以上 ②糖が50 mg/dL未満 ③LDHが血清LDHの正常上限以上――のいずれか2つを満たすことが鑑別に有用としている[1]
問診・診察のポイント  
  1. 腹水のある肝硬変患者ではSBPの頻度が高い。感染症として常に考慮する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
住吉翔元 : 特に申告事項なし[2024年]
監修:山本舜悟 : 企業などが提供する寄付講座(日本財団)[2024年]

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特発性細菌性腹膜炎

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