食道裂孔ヘルニア :トップ    
監修: 木下芳一 島根大学医学部附属病院
河野辰幸 東京医科歯科大学医学部附属病院 食道外科

概要

疾患のポイント:
  1. 食道裂孔ヘルニアとは横隔膜食道裂孔から腹腔内臓器が胸部へと脱出した状態であり、脱出臓器のほとんどは胃である。多くは後天性であるが、先天性のものもある。
  1. 軽症を含め、わが国成人の半数以上にみられるとの報告があり、食生活や体型の欧米化により増加傾向が指摘されている。
  1. 解剖学および生理学的見地から、滑脱型(sliding)と傍食道型(para-esophageal)が基本で、両者の併存する混合型(mixed)もみられる。一般に女性に多いとされるが、報告者によりその発生頻度には大きな幅がある。欧米の50歳以上の成人においては、無愁訴の群で約10%、消化器系愁訴のある群では約50%との報告があり、滑脱型では胃食道逆流防止機能の障害が生じ胃内容の食道への逆流が生ずる場合があり、胃食道逆流症(GERD)を合併する。
  1. 傍食道型ではヘルニア嚢が下部食道を圧排し、通過障害を訴えることが多い。
 
症状:
  1. 食道裂孔ヘルニアそのものによる固有の自覚症状はないが、合併する疾患により症状を生じる。
  1. 滑脱型では胃食道逆流防止機能の障害が生じ胃内容の食道への逆流が生ずる場合があり、逆流性食道炎を中心とするさまざまな逆流関連疾患、症状群を生じ、胃食道逆流症(GERD)と総称される。傍食道型では逆流防止機構が温存されるため、逆流の問題は生じないが、ヘルニア嚢が下部食道を圧排し、通過障害を訴えることが多い。混合型では両者の病態が表現される。食道炎に基づく食道狭窄症や出血、脱出臓器の血行障害/穿孔などが重篤な合併症として生じ得る。
 
診断:
  1. ポイント:
  1. 食道胃接合部が横隔膜より口側に存在することを確認できれば診断が可能である。基本的には食道胃粘膜接合部と裂孔部との“ずれ”を指標にするが、もともと可動性の高い領域であり、呼吸の状態や胃内の状況によって大きく変化するため、定義は難しい。以下のような所見と症状を参考にしながら診断する。
  1. X線造影:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための評価例
  1. 胃内に挿入した内視鏡を反転させ、噴門部の開大度を評価する診断法もあるが、軽度のものを評価するのはやはり難しい。
  1. X線造影では、下部食道噴門部の生理的解剖学的構造をよく理解し、画像を読影することが必要である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

滑脱型(sliding)・傍食道型(para-esophageal)のX線造影画像
著者校正/監修レビュー済
2017/04/27