ガストリノーマ :トップ    
監修: 下瀬川徹 東北大学大学院
土井隆一郎 大津赤十字病院

概要

疾患のポイント:
  1. ガストリノーマは多くの場合、膵臓または十二指腸に生じ、リンパ節転移や肝転移を来す悪性疾患である。
  1. ガストリノーマは消化性潰瘍患者の1%程度を占め、膵神経内分泌腫瘍のなかで、非機能性腫瘍、インスリノーマについで多く、男女比は1.5~2である。
  1. 潰瘍が治りにくい、容易に再発する、多発性潰瘍、十二指腸下行脚以降の潰瘍、穿孔などはガストリノーマを想起する。
  1. なお、ガストリノーマ患者の25〜40%は下痢が初発症状である。
 
診断: >詳細情報 
  1. 空腹時血清ガストリン値が1,000pg/mL以上あればガストリノーマが強く疑われる。血清ガストリン値が150以上1,000pg/mL未満では鑑別のためカルシウム負荷試験が必要である。
  1. 24時間pHモニター検査でpH<2 holding timeが90%以上のとき、あるいは空腹時の胃内pH<2の時は過酸状態と判定され、ガストリノーマが強く疑われる。
  1. 上記に加えて、上部消化管内視鏡で十二指腸粘膜下腫瘍が認められる、またはUS、CT、MRI、EUS検査で造影効果を受ける膵内腫瘍が認められれば、ガストリノーマが強く疑われる。
  1. 局在診断のための選択的動脈内刺激物注入試験(SASIテスト)で有意な反応が得られれば、ガストリン産生腫瘍である。
  1. 上記に加えて、内視鏡下生検または超音波内視鏡下穿刺生検(EUS-FNA)で神経内分泌腫瘍(NET)の診断が得られればガストリノーマの診断となる。
  1. 一方、ヘリコバクター・ピロリ菌感染、慢性腎不全、萎縮性胃炎などによるG細胞過形成、プロトンポンプ阻害薬(PPI)長期内服などの原因を除いた後に高ガストリン血症が是正されればガストリノーマは除外される。
  1. ガストリノーマの20~25%は家族性であり、多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)の部分症である。MEN1の診断を検討するため、家族歴聴取、下垂体腫瘍、副甲状腺腫瘍(副甲状腺機能亢進症)の検索を行う。
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. ガストリノーマの予後は遠隔転移の有無で予測する。
  1. 遠隔転移の有無はCT、MRI、PET、ソマトスタチンレセプターシンチグラム(保険適用なし)で検索する。
 
治療: >詳細情報 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

ガストリノーマを疑う患者に対する検査
  1. ガストリノーマ診断の第一歩は、高ガストリン血症を確認することである。同時に他の消化管ホルモンに異常がないか確かめる。また、MEN1除外のためにPTH、血中カルシウム濃度のチェックが必須である。
○ 臨床症状からガストリノーマを疑う場合、1)~4)の検査をすべて行う。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

ガストリノーマの手術治療
ガストリノーマの好発部位
MEN1に伴う十二指腸ガストリノーマの術中US像と術中所見
膵ガストリノーマのEUS像
十二指腸ガストリノーマの上部消化管内視鏡所見像
著者校正/監修レビュー済
2016/04/22