転移性肺腫瘍 :トップ    
監修: 高橋和久 順天堂大学大学院
礒部 威 島根大学医学部内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学

概要

疾患のポイント:
  1. 肺は、他臓器に原発した腫瘍が転移する頻度が高い。
  1. 原発腫瘍としては、絨毛癌、骨肉腫、精巣腫瘍、悪性黒色腫、腎臓癌が高率である。また、肺に原発した癌が肺内に転移する頻度も高い。
  1. 転移の様式は、①血行性転移、②リンパ行性転移、③経気道性(経気管支性)転移、④臓側胸膜、――を経由する転移に大別される。
  1. 血行性転移:
  1. 頭頚部や腹部の癌では、肺動脈経由の転移が一般的な経路である。
  1. リンパ行性転移:
  1. 肺門部や縦隔リンパ節に転移を認める。癌性リンパ管症は、肺門部リンパ管が閉塞状態となってリンパ流が逆流し、気管支周囲ないしは胸膜下のリンパ管を逆行して生ずる。
  1. 経気道性(経気管支性)転移:
  1. 細気管支肺胞上皮癌で認められることが多い。
  1. 症状としては無症状が多いが、咳、痰、血痰、胸痛、呼吸困難、気胸など、一般的な呼吸器症状を認めることもある。
 
診断:
  1. 初期病変では、胸部単純X線やCT検査での指摘が困難なことが多く、診断には気管支鏡検査が有用である。
  1. 原発巣の組織像との比較が困難な場合は、免疫組織学的な検討が、原発巣の推定や肺原発か否かの判断に有用である。
  1. 肺転移を有する患者の治療では、全身状態の指標としてのperformance status(PS)の把握が重要である。
 
ステージング・合併症評価: >詳細情報 
  1. 予後は、原発癌腫によって異なる。固形癌の肺転移は遠隔転移である。すでに原発癌が全身病であることを示しており、多くの場合予後不良である。
  1. 肺に転移を認めた時点で、TNM分類ではほとんどの癌腫においてM1となり、進行癌に分類される。
  1. 乳癌では、切除群と非切除群の予後に差がなかったため切除しても予後改善は期待できない
  1. 大腸癌や腎癌、肉腫系腫瘍など一部の固形癌では、肺転移巣切除が生存に寄与するとの報告は少なくなく、特に大腸癌では、肺転移巣の切除で予後の改善を示唆する多くの報告があり、おおよそ肺切除後の5生率は40~60%とされている。
 
治療: >詳細情報 
  1. 一部を除いて手術適応はなく、全身治療が優先される。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

ステージング、合併症の有無、治療方針決定のための検査オーダー
  1. 肺転移の広がりを確認するために胸部CT検査を行う。
  1. 原発巣を確認するために腹部造影CT、腹部超音波検査を行う。
  1. 重複癌や良性腫瘍が否定できない場合、原発巣が特定されていない場合は、確定診断のために組織診断を行う。腫瘍マーカーは、診断の補助として用いる。気管支鏡生検、CT下生検、胸腔鏡下生検などから選択し、病理組織診断を行う。
○ 確定診断のため、以下の検査を施行する。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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転移性肺癌
著者校正/監修レビュー済
2017/07/31