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再生不良性貧血

著者: 中尾眞二 金沢大学医薬保健学域医学系血液内科学

監修: 木崎昌弘 埼玉医科大学総合医療センター

著者校正/監修レビュー済:2020/06/05
参考ガイドライン:
再生不良性貧血診療の参照ガイド2019年改訂版

概要・推奨  

  1. 輸血が不要なステージ2aまでの非重症再生不良性貧血のうち、血小板の減少が他の血球の減少に比べて優位な例に対してはシクロスポリン3.5㎎/㎏を8週間投与して網赤血球数や血小板数の増加の有無をみる(推奨度2)。
  1. 2血球系統のみの減少が血小板減少を含む場合、血球減少の程度が再生不良性貧血の診断基準を満たさない場合でも、「前再生不良性貧血状態」を疑う必要がある。前再生不良性貧血状態を見逃した結果、重症化してから再生不良性貧血と診断され、治療に難渋することがしばしばある。このため、軽症再生不良性貧血と同様にシクロスポリン(保険適用外)の効果をみることが勧められる(推奨度2)。
  1. シクロスポリンは2年以上投与すれば、多くの例で再燃を招くことなく中止することが可能である。ただし、減量の過程で急速に悪化することがあるため、血小板の減少傾向がみられた場合には、次回受診時までの観察期間を短縮し、血小板減少がさらに進行する場合にはただちにシクロスポリンを増量する必要がある。
  1. 一方、一定量のシクロスポリンで3カ月以上血球数に変動を認めない場合は漫然と投与することは避け、減量・中止を試みる(推奨度2)。
  1. サイモグロブリンではEBウイルス(EBV)の再活性化のリスクがウマATGに比べて高く、EBV関連リンパ増殖性疾患のリスクが高いので、投与後3~4週以降に発熱、リンパ節腫大などがみられた際にはEBVのコピー数をチェックする必要がある(推奨度2)。
  1. 再生不良性貧血の約6割では治療前からGPIアンカー膜蛋白の欠失した発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)形質の血球が検出される。このPNH型血球の存在は免疫抑制療法に対する反応性や予後と関連するため、精度の高い方法を用いて一度は検索したほうがよい(推奨度2)。
  1. 30歳以上の再生不良性貧血患者に対する血縁者間骨髄移植や、すべての年齢層の患者に対する非血縁者間移植においては、従来より…
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 再生不良性貧血診療の参照ガイド2019年改訂版に基づき、以下の点を改訂した。
  1. シクロスポリンの保険適用が従来の重症再生不良性貧血のみから、非重症再生不良性貧血を含むすべての重症度の再生不良性貧血に拡大された。これを受けて、輸血が不要な軽症・中等症の再生不良性貧血に対する初回治療をシクロスポリン3.5㎎/㎏より開始し、8週間後に効果がなければ、トロンボポエチンレセプター作動薬(thrombopoietin receptor agonist: TPO-RA)の追加を含む治療方針の変更を検討することとした。
  1. ウサギ抗胸腺細胞グロブリン(ATG、サイモグロブリン®)とシクロスポリンの併用療法を受ける患者に対して、TPO-RAのエルトロンボパグ(EPAG)の併用が保険で認められるようになった。このため、輸血が必要な中等症以上の重症度を示す患者にATG・シクロスポリン併用療法を行う場合、原則としてEPAGを追加することとした。
  1. ATG・シクロスポリン・EPAG療法後、3カ月経過時点で網赤血球や血小板の増加がまったくみられない場合は、EPAGをロミプロスチム(ROMI)に変更するとともに、蛋白同化ステロイドのプリモボランまたはダナゾール(保険適用外)の追加を検討することとした。


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