今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 石田文宏 信州大学医学部保健学科

監修: 木崎昌弘 埼玉医科大学総合医療センター

著者校正/監修レビュー済:2022/11/09
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、疾患情報について加筆修正した。 

概要・推奨   

  1. 赤芽球癆の診断は骨髄赤芽球低形成に基づく赤血球産生低下により生じている貧血であることを証明し、病歴や検査所見によって病因診断を行うことが重要である(推奨度1)
  1. 赤芽球癆の初期治療は急性型と慢性型の鑑別を行うための方針決定と赤血球輸血の適応判断である(推奨度1)
  1. 基礎疾患の治療により貧血が改善しない後天性慢性赤芽球癆と特発性赤芽球癆に対して、免疫抑制薬の使用を考慮する(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 赤芽球癆(pure red cell aplasia、PRCA)は正球性または大球性貧血( 貧血 )と網赤血球の著減および骨髄赤芽球の著減を特徴とする造血器疾患である。<図表><図表>
  1. 赤芽球癆の病因は多様である。大きく先天性と後天性の病型に分けられ、後天性はその発症様式から急性型と慢性型に分類される。<図表>
  1. 先天性のものはDiamond-Blackfan貧血が知られ、25%の症例にリボゾーム蛋白S19をコードする遺伝子異常を有している。
  1. 後天性慢性赤芽球癆には特発性赤芽球癆と、 胸腺腫 あるいは 大顆粒リンパ球性白血病 などに伴う続発性赤芽球癆があり、その鑑別は重要である。
  1. 通常白血球数および血小板数は正常であるが、続発性の場合には基礎疾患によって異なる。
  1. 赤芽球癆の治療は病型・病因によって異なり、基礎疾患の治療に反応しない後天性慢性赤芽球癆に対して免疫抑制療法が行われる。
  1. 後天性赤芽球癆は、指定難病であり、重症度分類がStage3以上(ただし薬物療法を行っていてヘモグロビン濃度10g/dl以上の者は対象外)などでは、申請し認定されると医療費の自己負担分の一部が公費負担として助成される。(平成27年7月施行)
  1. 難病法に基づく医療費助成制度
 
  1. 日本人に最も多い後天性慢性赤芽球癆の病型は特発性(69.1%)である。続発性慢性赤芽球癆のなかで多い原因は胸腺腫関連赤芽球癆(9.3%)および大顆粒リンパ球性白血病関連赤芽球癆(2.5%)である(推奨度1、O)
  1. まとめ:後天性赤芽球癆は急性と慢性に区分される。慢性赤芽球癆は原因不明の特発性と基礎疾患を有する続発性に分類される。特発性赤芽球癆は続発性赤芽球癆に属さないものを指し、その頻度は後天性慢性赤芽球癆全体の約70%と推定されている[1][2][3]
  1. 代表事例:特発性造血障害調査研究班が2004年と06年に行った全国調査によれば、ヒトパルボウイルスB19感染によらない成人の後天性赤芽球癆185例中、特発性が73例(39.5%)で、残りが続発性であった。続発性赤芽球癆の基礎疾患としては、胸腺腫、リンパ系腫瘍、自己免疫疾患が多くみられた[3]。日本血液学会疾患登録データベースで2013年から2019年の登録症例では69.1%が特発性であった。
  1. 結論:続発性赤芽球癆の原因は多様であり、基礎疾患を丁寧に探すことが重要である。
問診・診察のポイント  
  1. 急性型と慢性型の鑑別のために、 貧血 およびそれに関連する症状がいつ出現したかを確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
石田文宏 : 研究費・助成金など(ホクト(株))[2024年]
監修:木崎昌弘 : 未申告[2024年]

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赤芽球癆

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