急性動脈閉塞症 :トップ    
監修: 伊藤浩 岡山大学循環器内科
村山博和 千葉県循環器病センター 心臓血管外科

概要

疾患のポイント:
  1. 急性動脈閉塞症とは、主幹動脈が、血栓や塞栓により突然閉塞を起こす病態である。
  1. 原因としては、心臓や動脈壁に由来する塞栓子が動脈を閉塞する塞栓症と、もともと病変を有していた動脈内に血栓が形成されて閉塞に至る血栓症が主なものである。
  1. 塞栓症と血栓症の代表的な病因:<図表>
  1. 塞栓症の部位別発生頻度は下肢(腹部大動脈分岐部以下の閉塞)が84%と高く、上肢が16%である。
  1. 塞栓症の発生頻度:<図表>
 
診断: >詳細情報 
  1. 下肢では、総大腿動脈、膝窩動脈、足背動脈、後脛骨動脈の拍動の有無、上肢では腋窩動脈、上腕動脈、橈骨動脈、尺骨動脈の拍動の有無より閉塞部位を診断する。閉塞部位より中枢側の拍動は、増強し、閉塞部位よりも末梢側に皮膚蒼白、温度低下の境界ラインを認める (例:外腸骨動脈閉塞では大腿部、大腿動脈閉塞では膝関節、膝窩動脈では下腿中央より末梢に境界ライン)。
  1. 超音波ドプラー血流計による血流音の聴取を行い、拍動音の顕著な減弱ないし、消失を確認する。
 
原因疾患の評価: >詳細情報 
  1. 主な原因は、上記のように塞栓症と、血栓症の2つである。
  1. 塞栓の起源の80~90%が心臓由来(心房細動、虚血性心疾患、僧帽弁膜症)であり、上肢急性動脈閉塞の原因として多い。
  1. 上下肢の突然の疼痛、しびれ、冷感の出現と経時的な増強傾向を訴える場合に、塞栓症による急性動脈閉塞を想起する。
  1. 下肢の間欠性跛行の既往があり、疼痛、しびれ、冷感が徐々に増強する場合には、血栓症による閉塞性動脈硬化症の急性増悪(急性動脈閉塞)を想起する。
  1. 塞栓症の原因:<図表>
  1. 塞栓症と血栓症の鑑別点:<図表>

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時、閉塞部位診断のための検査例
○ 患肢の脈拍を触診するとともに超音波ドプラー血流計を用いて拍動音を確認し、客観的な評価を行う(健常肢と比較)。

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薬剤監修について:
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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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急性下肢虚血診療のアルゴリズム
塞栓症の発生頻度
塞栓症の原因
塞栓症と血栓症の鑑別点
塞栓症と血栓症の代表的な病因
入院直後3DCT1
入院直後3DCT2
血栓除去術
血栓除去後3DCT1
血栓除去後3DCT2
著者校正/監修レビュー済
2017/11/30

編集部編集コンテンツ:
 
関連する医療事故:
  1. ASOのリスクのある患者では、間欠性跛行など病歴を聴取するとともに術前に評価しておくことが肝要である。術後のしびれ、運動障害など下肢の神経症状を認めた場合には血行障害の可能性も念頭において、冷感、色調変化の観察および超音波ドプラー血流計にて血流音を確認する:
  1. 症例:回腸上行結腸端側吻合、左尿管皮膚ろう、右尿管結さつ術後、左下肢冷感、チアノーゼあり自力で左下肢動かすこと不能となった。術後2日目に施行した下肢動脈・静脈エコー検査、CT造影の結果、左膝窩動脈付近で動脈途絶認められた。術後3日目CK 2207と上昇あり、左下腿内圧測定しコンパートメント症候群と判断し、減張切開術施行 。その後、左下肢切断となった。(詳細情報ページ:医療事故情報 詳細表示


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