今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 興津雅人 東京都立神経病院 脳神経内科

著者: 漆葉章典 東京都立神経病院 脳神経内科

監修: 野口善令 豊田地域医療センター 総合診療科

著者校正済:2025/03/12
現在監修レビュー中
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、症例を追記した。

概要・推奨   

  1. しびれは多彩な症状を含む表現で、感覚・知覚の症状を指すことが多いが、患者によっては運動麻痺の表現として用いることもあり注意が必要である。
  1. しびれは神経疾患のほか、血管疾患、内分泌疾患、精神疾患、産婦人科疾患など多様な原因で生じ、症状経過、背景などからまず原因疾患のカテゴリーを特定する必要がある。
  1. 急性発症のしびれでは、脳梗塞・出血、脊髄梗塞・出血・脊髄炎などの脊髄病変、血管炎性ニューロパチー、ギラン・バレー症候群といった緊急対応が必要な病態を鑑別する。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
ポイント:
  1. 「しびれ」は、日常的にはさまざまな意味で用いられる言葉である。したがって、診察の際にはできる限りその意味を把握し、適切な医学カテゴリーに分類することが必要になる。特に患者によっては「しびれ」を感覚・知覚の症状でなく運動麻痺の表現として用いることもあり、その場合は必要なアプローチが大きく異なるので注意が必要である。本稿では感覚障害に対応する内容として、「しびれ」について扱う。
  1. なお、四肢のしびれを訴える患者の割合は人口比で10万人に2,400人、年齢の上昇に伴って8,000人にまで増加するとの報告がある[1]。顔面の神経障害については別項「顔面神経麻痺(Bell麻痺、Hunt症候群:耳性帯状疱疹)」を参照にしてほしい。
 
しびれの医学的カテゴリー:
  1. 「しびれ」は一般的には「ジンジン」「ビリビリ」「チクチク」と表現される外的刺激に拠らない自発的な感覚を指し、その場合には「異常感覚」の用語が対応する。一方で、外界から与えられた刺激を異なった性質で感じる「錯感覚」、与えられた刺激を強く感じる「感覚過敏(hyperesthesia)」、痛みを起こさないような軽微な刺激を強い痛みとして感じる「異痛症(allodynia)」、さらに与えられた刺激を鈍く感じる「感覚鈍麻(hyp(o)esthesia)」、あるいは与えられた刺激を感じない「感覚消失(anesthesia)」などの場合もしばしば「しびれ」と表現される。
  1. なお「異常感覚」、「錯感覚」に関連して英語ではdysesthesia、paresthesiaという単語があるがこの定義と使い分けについては英語圏でもわが国でもさまざまな考えがあり統一されていないため、日本神経学会が作成した『神経学用語集 改訂第3版』では「dysesthesia、paresthesiaに対し、異常感覚、錯感覚のいずれかを対応させることはしない」と記載されている[2][3][4]
 
知覚の伝導路:
  1. 「しびれ」の原因評価は知覚伝導路に沿って考察する。知覚の伝導は、末梢の受容器にて把握された刺激が電気的興奮となって脊髄後根神経を介して脊髄に達した後、位置覚・振動覚は、同側の後索を上昇し内側毛帯となって対側の視床に向かい大脳皮質の知覚野に達する。一方、温痛覚は、後根を介して脊髄に入った後にすぐに対側の外側脊髄視床路になって上行し視床を経て大脳皮質に向かう。大脳では、これらの情報は、中心後回のブロードマン第1-3野が一次中枢となり、その後連合野などにて情報処理がされる。
  1. 「しびれ」の原因は上述の知覚伝導路のいずれの部位でも生じ得るため、原因疾患として、中枢神経疾患(脳血管障害など)、脊髄・神経根疾患(頚椎症、横断性脊髄炎、椎間板ヘルニアなど)、末梢神経疾患(単神経炎、多発神経炎など)などが考えられる。また注意すべき点として、感覚神経以外に病変の主座を有する神経疾患(筋萎縮性側索硬化症、Parkinson病)でも、感覚症状として「しびれ」の訴えが比較的高頻度にあることが近年報告されている[5]。ほかに、全身疾患として、血管疾患(閉塞性動脈硬化症など)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)、精神疾患(パニック発作、過換気症候群など)、産婦人科疾患(更年期障害)、電解質異常(低Ca血症、低Mg血症、アルカローシスなど)も原因として考慮され、脳神経内科、脳神経外科、整形外科、内分泌内科、血管外科、精神科など多くの科に専門がまたがっている。
 
神経線維の種類:
  1. 有髄のA線維(太い方からα:位置覚、β:触覚・圧覚、γ:位置覚、δ:温痛覚の4群)とB線維(自律神経)、無髄のC線維(交感神経、温痛覚)があり、Aδは 速い痛み(チクッとする痛み:体性痛)と温度覚を、最も細いC線維は遅い痛み(ジーンとする痛み:内臓痛・関連痛)を伝達する。
  1. 患者の訴える「しびれ」が疼痛性か、非疼痛性かによって、主に障害されている神経が前者であれば小径線維系(Aδ、C線維)、後者であれば大径線維系かを大まかに判断することができる[5]
問診・診察のポイント  
問診のポイント:
  1. しびれという言葉の意味や、しびれの分布、しびれの発症機転、背景因子を確認することが診断に有用である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
興津雅人 : 特に申告事項無し[2024年]
漆葉章典 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:野口善令 : 特に申告事項無し[2024年]

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しびれ・感覚障害

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