摂食障害 :トップ    
監修: 上島国利 昭和大学
西園マーハ文 白梅学園大学 子ども学部 発達臨床学科

概要

疾患のポイント:
  1. 摂食障害とは、極端な食事制限や過食などの食行動の問題と、心身のさまざまな症状を伴う精神疾患である。
  1. 摂食障害には、神経性無食欲症(拒食症)、神経性大食症(過食症)など、種々の病態がある。
  1. 拒食症と過食症では食行動が異なるが、肥満恐怖、空腹感や満腹感の読み取り障害、自己評価の低さなど、心理面では共通点が多い。
 
診断: >詳細情報 
  1. DSM-5では以下が神経性やせ症/神経性無食欲症の診断基準となっている。
  1. A.必要量と比べてカロリー摂取を制限し、年齢、性別、成長今日曲線、身体的健康状態に対する優位に低い体重に至る。有意に低い体重とは、正常の下限を下回る体重で、子どもまたは青年の場合は、期待される最低体重を下回ると定義される
  1. B.有意に低い体重であるにもかかわらず、体重増加または肥満になることに対する強い恐怖、または体重増加を妨げる持続した行動がある
  1. C.自分の体重または体型の体験の仕方における障害、自己評価に対する体重や体型の不相応な影響または現在の低体重の深刻さに対する認識の持続的欠如
  1. DSM-5では以下が神経性過食症/神経性大食症の診断基準となっている。
  1. A.反復する過食エピソード、過食エピソードは以下の両方によって特徴づけられる
  1. 他とはっきり区別される時間帯に(例:任意の2時間の間の中で)ほとんどの人が同様の状況で同様の時間内に食べる量よりも明らかに多い食物を食べる
  1. そのエピソードの間は、食べることを抑制できないという感覚(例:食べるのをやめることができない、または、食べるものの種類や量を抑制できないという感覚)
  1. B.体重の増加を防ぐための反復する不適切な代償行動。例えば、自己誘発性嘔吐;緩下剤、利尿薬、その他の医薬品の乱用;絶食;過剰な運動など
  1. C.過食と不適切な代償行動がともに平均して3カ月間にわたって、少なくても週1回は起こっている
  1. D.自己評価が体型および体重の影響を過度に受けている
  1. E.その障害は神経性やせ症のエピソードの期間にのみ起きるものではない
  1. 診断基準を満たすの…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断・重症度評価例
  1. 診断のための検査:
  1. 摂食障害という診断を確定するための検査はなく、臨床像から判断する。鑑別診断として、甲状腺機能亢進症による体重減少、脳腫瘍などによる食欲異常を疑う場合は、甲状腺ホルモン、頭部MRIなどの検査を行う(鑑別の項参照)。
  1. 血液ガス分析で、代謝性アルカローシスがみられれば、嘔吐による胃液喪失の影響、代謝性アシドーシスがみられれば、下剤乱用による下痢の影響が示唆されるが、これらの行動については、面接の中で本人から直接情報を得るほうが望ましい。
  1. 重症度評価のための検査:
  1. 尿検査でケトン体が検出されれば、炭水化物の摂取が極度に少ないことが示唆される。
  1. 低血糖は、炭水化物摂取が少ない状態が持続していることを示唆する。
  1. 低カリウム血症は、嘔吐、下剤乱用などがかなりの頻度でみられることを示唆する。
  1. 唾液腺由来アミラーゼが高値の場合は、自発性嘔吐が頻繁にみられることを示唆する。
  1. 拒食症で低栄養の場合も、高カロリーの過食が続いている場合も、AST、ALTなどの肝臓酵素が高値を示すことがある。
  1. 白血球分画の中で、リンパ球に比較して顆粒球が少なければ、低栄養状態が持続していることを示唆する。
  1. NICE:身体的リスクのガイダンス:<図表>
  1. 血圧、BMI、体温、脈拍、スクワットテストの結果と、血算、電解質、アルブミン、CK、血糖値、心電図評価の結果を評価し、総合的に重症度を評価する。(身体的リスクのガイダンス<図表>
  1. 初診時は、重症度に基づき、食事を含めた生活リズムの立て直しを行う。
○ 診断・重症度・合併症評価目的で1)~14)を行う。

追加情報ページへのリンク

薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

身体的リスクのガイダンス(全般的な診察での判断を優先すること)
1888年の英国の医学誌Lancetに掲載された写真の版画(神経性無食欲症の様子)
著者校正/監修レビュー済
2016/05/27