対麻痺 :トップ    
監修: 永山正雄 国際医療福祉大学大学院医学研究科 神経内科学
福武敏夫 亀田メディカルセンター 神経内科

概要

症状のポイント:
  1. 対麻痺とは両側対称性の下肢運動麻痺であり、歩行障害を示す。
 
緊急対応: >詳細情報 
  1. 急速に進行する場合には緊急手術が必要な病態(外傷性脊髄損傷や急性硬膜外出血など)を考慮し、脊椎・脊髄MRIを撮像するとともに、外科手術の可能な施設への移送を準備する。
 
診断へのアプローチ:(診察: >詳細情報 ・アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 対麻痺診断の基本は、詳細な病歴聴取と神経(学的)診察および脊椎・脊髄MRIである。
  1. 脊髄病変が多いが、まれに大脳病変や末梢神経障害によることがある。
  1. 対麻痺の鑑別のアルゴリズム:アルゴリズム
  1. 脊髄病変の原因は外科的・内科的に多岐にわたる。したがって、病歴聴取による経過把握と神経診察による病巣の広がりの推定が重要であり、その推定に基づき、適切な部位の脊椎X線、次いでMRIを撮像することが最初の重要な検査である。その後、MRI所見の有無、特徴により、血液検査や脳脊髄液検査、神経生理学的検査を取捨選択して診断を進めていく。
 
鑑別疾患:(鑑別疾患のリスト: 鑑別疾患 )
  1. 下記の疾患が頻度が高い疾患、重篤な疾患、まれな治療可能な疾患である。
  1. 頻度の高い疾患: >詳細情報 
  1. 頚椎症・頚椎椎間板ヘルニア、感染性ないし炎症性脊髄炎・多発性硬化症
  1. 重篤な疾患: >詳細情報 
  1. 脊椎外傷、後縦靱帯骨化症(OPLL)、脊髄梗塞・脊髄出血、脊髄硬膜外出血、視神経脊髄炎

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初診時評価例
  1. ポイント:
  1. 脊髄病変の原因は外科的・内科的に多岐にわたる。対麻痺診断の基本は、詳細な病歴聴取と神経(学的)診察および脊椎・脊髄MRIである。
  1. 脊椎X線・脊椎・脊髄MRI検査の部位:
  1. 脊髄病変が多いが、まれに大脳病変や末梢神経障害によることがある。問診と神経診察により病巣の広がりの推定し、適切な部位の脊椎X線、次いでMRIを撮像する。
  1. 対麻痺の鑑別のアルゴリズム:アルゴリズム
  1. その後、MRI所見の有無、特徴により、血液検査や脳脊髄液検査、神経生理学的検査を取捨選択して診断を進めていく。
  1. 血液検査や脳脊髄液検査、神経生理学的検査を取捨選択:
  1. 一般血液検査では、炎症所見、赤血球容積(MCV)、凝固能検査、肝腎機能、CK、Kに注意する。
  1. 必要に応じ、甲状腺ホルモンと甲状腺自己抗体、ウイルス検査(特に水痘帯状疱疹、エンテロ、HTLV-1)、AQP-4抗体、GAD抗体、ガングリオシド抗体、梅毒検査、ビタミンB1・B12・葉酸、ACE・リゾチーム、極長鎖脂肪酸、銅、総ホモシステインなどを検査する。
  1. 必要に応じ腰椎穿刺(脳脊髄液検査)を施行する。圧、一般検査以外に、必要に応じ、オリゴクローナルバンド(OCB)、ミエリン塩基性蛋白(MBP)、ウイルス検査、梅毒検査などを検査する。ただし、腰椎穿刺の際には、禁忌(局所感染、脊髄腔閉塞性疾患、脳圧亢進疑い)に留意する。
  1. 神経生理学的検査は、末梢神経障害の除外や合併の有無(特に神経伝導検査)、神経原性か筋原性の鑑別(針筋電図)、脊髄内障害の検出(体性感覚誘発電位))のために施行される。
  1. 排尿機能の問診も重要であり、尿閉が疑われるときは、膀胱過伸展による後遺症を起こさないために、膀胱超音波検査and/or膀胱カテーテル検査を行う。
○ 対麻痺を認める場合、1) ~3)に追加し診察の結果フォーカスを絞った部位の4) ~6)を追加する。その後上述の記述に従い鑑別疾患に基づき7)~28)を追加する。特に炎症性・感染性疾患を疑う場合は19)~21)を追加する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
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※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

対麻痺鑑別のアルゴリズム
頚椎症(性脊髄症)の頚椎単純X線側面中間位(a)と頚椎MRI T2強調画像矢状断(b)
感染性脊髄炎の脊椎・脊髄MRI(造影つき)
視神経脊髄炎の脊椎・脊髄MRI(造影つき)
多発性硬化症の脊椎・脊髄MRI
頚椎OPLLの頚椎単純X線側面中間位(a)と頚椎MRI T2強調画像矢状断(b)
脊髄梗塞の脊椎・脊髄MRI
硬膜外血腫の脊椎・脊髄MRI
ビタミンB12欠乏症(亜急性連合性脊髄変性症)の脊椎・脊髄MRI
脊髄サルコイドーシスの脊椎・脊髄MRI
著者校正/監修レビュー済
2017/01/26


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