今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 池上史郎1) 千葉県済生会習志野病院

著者: 佐伯直勝2) 脳神経内科 津田沼

監修: 甲村英二 公立学校共済組合 近畿中央病院

著者校正/監修レビュー済:2024/08/07
参考ガイドライン:
  1. 日本脳神経外科学会/日本脳神経外傷学会:頭部外傷治療・管理のガイドライン 第4版
  1. 日本外傷学会、日本救急医学会:外傷初期診療ガイドライン 改訂第6版 2021
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 前回改訂から、新しいガイドラインは発表されていない。
  1. 定期レビューを行い、治療や経過観察に関して最近の文献を踏まえて以下について加筆した。
  1. 急性硬膜下血腫:
    ・Dダイマーが頭部外傷の重症度と相関するとの報告や(Nakae R, et al. Neurol Med Chir (Tokyo). 2022 Jun 15;62(6):261-269.)、talk and deteriorate症例では高値といった報告もある(刈部 博、他. Neurosurgical Emergency. 2020:2(2) :187-194)。
    ・外傷性硬膜下水腫を認めると25%程度で慢性硬膜下血腫へ移行し、60歳以上、厚い水腫やCT値の高い水腫がリスク要因になるとの報告もある(Yu J, et al. J Clin Neurosci. 2023 Jan;107:23-33.)。
  1. 慢性硬膜下血腫:
    ・穿頭洗浄ドレナージ術に関して、再発率を下げるために温生食の使用(Bartley A, et al. JAMA Neurol. 2023 Jan 1;80(1):58-63.)、穿頭やドレーン位置や血腫腔内の空気抜きといった細かな取り組みがなされている(Zhong D, et al. Clin Neurol Neurosurg. 2024 May 9;242:108323.)。ドレナージ留置に関しては短期間でも再発を増やさないといった報告もあり、高齢者などでは早期の抜去も検討される(Bartley A, et al. Acta Neurochir (Wien). 2023 Mar;165(3):711-715.)。
    ・術前のFDPやDダイマーの上昇が術後再発と関連するといった報告も出てきており、年齢・既往等の患者背景や画像所見等にくわえ術後再発のバイオマーカー研究もなされる様になっている(Bao Z, et al. Mol Cell Biochem. 2024 May 14.)。

概要・推奨   

  1. 急性硬膜下血腫は、頭部外傷後の意識障害や片麻痺などの原因となり重症例では致命的となるため、頭部CT評価や外科的介入などの迅速な対応が必要である(推奨度1 OJ)
  1. 慢性硬膜下血腫は、軽微な頭部外傷後に緩徐に進行する頭痛、認知障害や片麻痺などの神経症状で発症する疾患で、想定される場合には頭部CTなどの画像評価を行う(推奨度1)
  1. 硬膜下血腫を認める場合には外科的治療の適応などの評価を目的に脳神経外科の専門医に相談する(推奨度1)

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※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
池上史郎 : 特に申告事項無し[2024年]
佐伯直勝 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:甲村英二 : 特に申告事項無し[2024年]

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