腹水貯留

著者: 榎本平之 兵庫医科大学 内科学肝胆膵科

著者: 西口修平 兵庫医科大学 内科学肝胆膵科

監修: 金子周一 金沢大学大学院

著者校正/監修レビュー済:2019/12/13

概要・推奨  

  1. 肝硬変の腹水に対する治療として塩分制限は有効であるため、1日5g程度の減塩食の指導を行うことが強く推奨される(推奨度1)。
  1. 漏出性腹水と滲出性腹水の鑑別は、血清と腹水のアルブミン濃度差(血清アルブミン値-腹水アルブミン値:Serum-ascites albumin gradient、SAAG)に基づいて行うことが推奨される(推奨度1)。
  1. 腹水の試験穿刺検体の検査項目には、好中球測定を含めることが強く推奨される(推奨度1)。
  1. 腹水の培養検査にあたっては、ベッドサイドで血液培養用のボトルに検体を直接入れることが推奨される(推奨度2)。
  1. 肝硬変腹水に対しては、抗アルドステロン薬が第1選択であり、単剤またはループ利尿薬との併用による治療開始が推奨される(推奨度1)。
  1. 既存の利尿薬投与にても腹水が存在する肝硬変患者には、バソプレッシンV2受容体拮抗薬の投与を考慮する(推奨度2)。
  1. 低アルブミン血症を伴う肝硬変腹水に対しては、アルブミン製剤の投与が推奨される(推奨度2)。
  1. 難治性腹水の患者への対処としては、まず腹水穿刺排液を行うことが推奨される(推奨度2)。
  1. 腹水排液の際には血漿増量剤の点滴投与を行うことが推奨される。特にアルブミン製剤の有用性は高いと考えられる(推奨度2)。
  1. 頻回の穿刺排液を要する難治性腹水に対しては、腹水の濾過濃縮再静注への変更を考慮してもよい(推奨度3)。
  1. 穿刺排液でコントロール不可能な難治性腹水に対しては、腹膜・静脈シャント(P-Vシャント)を考慮してもよい(推奨度3)。
  1. SBPが疑われたら、培養結果を待たずに抗菌薬による治療を開始することが強く推奨される(推奨度1)。
  1. SBPに腎障害を伴う場合、アルブミン製剤投与を行うことが推奨される(推奨度2)。
  1. 腹水を伴う非代償性肝硬変の患者には、分岐鎖アミノ酸(BCAA)含有製剤の投与が推奨される(推奨度2)。
  1. 腹水を有する肝硬変患者の発熱の際には、必ずSBPを鑑別疾患として考えることが勧められる。
 
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、利尿薬治療開始時の薬剤の分量について修正を行った。


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