今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 堀尾 勝 関西メディカル病院 腎臓内科

監修: 今井圓裕 中山寺いまいクリニック

著者校正/監修レビュー済:2023/08/16
参考ガイドライン:
  1. 血尿診断ガイドライン改訂委員会:血尿診断ガイドライン2023
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 血尿診断ガイドライン2023の発行に伴いレビューを行った。
  1. 本ガイドラインでは血尿診断アルゴリズムが記載されたが、本臨床レビューの内容においては変更なし。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 健常尿の色調は淡黄色で尿に含まれるウロクロムなどの色素による。
  1. 健常尿は希釈~濃縮により水様透明から濃い黄茶色まで変化し得る。
  1. 薬物、食品、食品添加物に含まれる色素や代謝物による着色尿(<図表>)は病的所見ではない。
  1. 赤色~暗褐色尿(血尿、ヘモグロビン尿<図表><図表>、ミオグロビン尿、ポルフィリン尿<図表>)、黄褐色尿(ウロビリン尿、ビリルビン尿)、青~緑色尿(緑膿菌感染、ビリベルジン尿)、黒色尿(メラニン尿、アルカプトン尿<図表>)、白色尿(膿尿、脂肪尿、乳糜尿)が臨床的に重要である。
 
発作性夜間血色素尿症による赤色尿

A:左端が起床時尿でその後の短時間の尿の色調変化を連続的に示す。起床時尿が最も暗赤色であり、日中は尿色調は薄くなる。
B、C:血尿症例の検体で、Bが遠心前、Cが遠心後である。血尿による赤色尿では色素尿症と異なり、遠心により赤血球は沈殿し、上清は正常色調となる。血色素尿症では遠心による色調変化はないこと、尿沈渣に赤血球を認めないことより鑑別できる。

出典

Luzzatto, Lucio, MD,Araten, David J., MD - Clinical Hematology, 326-339 © 2006 Copyright © 2006, Elsevier Inc. All rights reserved.
 
  1. 血尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿は放置により赤色より黒褐色(コーヒー色、醤油色)に変化する。
  1. ビリルビンは尿の放置により黄色より緑色のビリベルジンに変化する。
  1. メラニン尿、アルカプトン尿(<図表>)は排尿直後の色調は正常であり、放置により黒変する特徴がある。
  1. ポルフィリン尿(<図表>)は新鮮尿で赤色を示す皮膚型ポルフィリン症と尿の放置により暗赤色の色調を示す急性ポルフィリン症がある。
 
  1. ポルフィリン症の病型と発症年齢、頻度
  1. ポルフィリン症はヘム合成に必要な8個の酵素のうち、いずれかが先天的にまたは後天的に障害されるため、ポルフィリン代謝産物が過剰に産生される疾患である。
  1. 先天的ポルフィリン症は障害される酵素により8型に分類される。臨床的には光線過敏症を示す皮膚型と突発的に急性腹症を疑わせる腹痛、嘔吐や四肢のしびれなどの神経症状で発症する急性型に分けられる。
  1. 急性ポルフィリン症は低Na血症、電解質異常、脱水などを伴い、不整脈などにより死にいたる場合もあるので緊急対応が必要となる。薬剤・ストレスによる誘発されるので、使用薬剤に注意が必要とされる。
 
ポルフィリン症の分類

赤色尿を来すポルフィリン症
 皮膚型ポルフィリン症でEPP以外は赤ぶどう酒色といわれる赤色尿を示す。ポルフィリンの中間生成物が尿の多量に排泄されるためである。これに対し、急性ポルフィリン症はより上流の中間生成物であるデルタアミレブリン酸やポルフォビリノーゲンが尿中に排泄される。これらの物質は無色であるが、体内で代謝されるか、尿放置により代謝され、赤暗色を示す。

出典

著者提供
問診・診察のポイント  
問診および診察:
  1. 尿の色調より可能性のある原因疾患について問診、診察を行う。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
堀尾 勝 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:今井圓裕 : 講演料(アストラゼネカ(株))[2024年]

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