今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 高澤直子 順天堂東京江東高齢者医療センター 泌尿器科

監修: 堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学

著者校正済:2025/04/01
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本泌尿器科学会:男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン(2023年アップデート版)
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会:夜間頻尿診療ガイドライン 第2版 (2024年アップデート版)
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会日本女性骨盤底学会:女性下部尿路症状診療ガイドライン 第2版
  1. 日本排尿機能学会日本泌尿器科学会:過活動膀胱診療ガイドライン 第3版
  1. 日本サルコペニア・フレイル学会国立長寿医療研究センター:フレイル高齢者・認知機能低下高齢者の下部尿路機能障害に対する診療ガイドライン2021
  1. 日本間質性膀胱炎研究会日本泌尿器科学会:間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン(2021年アップデート版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、最新の疫学調査を反映し、症例報告として典型例(3例)を追記した。

概要・推奨   

  1. 頻尿とは個人(または介護者)が正常と考えるよりも排尿回数が多すぎるという愁訴で排尿の時間と回数は想定されていない。夜間頻尿とは夜間睡眠中に1回以上排尿のために起きなければならないという愁訴。
  1. 頻尿の原因は前立腺肥大症や過活動膀胱、悪性腫瘍(膀胱癌、前立腺癌、その他の骨盤内腫瘍)、尿路結石、下部尿路の炎症性疾患(細菌性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、間質性膀胱炎)、子宮内膜症などの膀胱周囲の異常、骨盤臓器脱、神経疾患、多尿、心因性頻尿、薬剤の副作用などが考えられる。検査所見によっては専門医への紹介が必要である(推奨度1)
  1. 前立腺肥大症や女性骨盤底障害による過活動膀胱は、専門医の診察が推奨される(推奨度1)
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  1. 排尿と生活習慣との関連については、多くの報告があり、排尿障害を有する患者に対して、日常生活における注意点について指導することは、臨床医にとって重要な要素となる[1][2](推奨度3)。過剰な水分摂取やカフェイン摂取の抑制によって改善する可能性がある。特に夜間眠前飲水量の減少により、夜間頻尿の回数の改善を認められることはある。
  1. 前立腺肥大症に伴う頻尿の場合には、α1遮断薬が第1選択となり症状の改善が乏しい場合には残尿量を確認しながら抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬の併用をする。女性であれば骨盤臓器脱などの疾患の有無を確認し、尿失禁や残尿を考慮しながら抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬を開始する。骨盤臓器脱を認める場合には、専門医へ紹介する(推奨度1)。明らかな認知機能障害を有する高齢者に対してはβ3アドレナリン受容体作動薬を優先させる。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 頻尿は、排尿障害の一種であり、現在では2002年に国際禁制学会(International Continence Society:ICS)がまとめた下部尿路機能に関する用語標準化報告により、過活動膀胱(overactive bladder:OAB)による症状の1つとみなされる。
  1. 頻尿は、QOLを低下させるのみならず、社会的孤独感やself-related health(自覚的健康感)の低下を来す、頻度の高い疾患である。わが国での疫学調査では、40歳以上の82.5%(男性85.0%、女性80.1%)が頻尿症状を有すると報告されている[3]
  1. OABは、「尿意切迫症状を主要な症状とし、通常は頻尿および夜間頻尿を伴い切迫性尿失禁を伴うこともある状態、ただし感染や明らかな他の疾患(癌、炎症など)は除外する」という自覚症状に基づく実践的な定義に、2002年のICSで変更された。
  1. わが国におけるOABの頻度は、40歳以上の13.8%(男性16.6%、女性11.0%)と報告されている[3]
  1. OABに伴う症状のうち、夜間頻尿症状が35.9%と最も多く、昼間頻尿17.5%、尿意切迫感16.9%、切迫性尿失禁7.4%であった。これらの症状に加えて、男性では排尿後滴下や尿勢低下も多く、女性では腹圧性尿失禁が多く認められ、性差が認められた[3]
  1. 前立腺肥大症では、下部尿路閉塞により二次的に膀胱機能の変化が誘発され、それに伴い畜尿症状が生じると想定されている。
  1. 骨盤臓器脱では、下部尿路閉塞や膀胱壁の伸展が過活動膀胱の一因と考えられている。骨盤臓器脱の修復後に過活動膀胱が改善することがある。
  1. 夜間頻尿の原因は複雑であり、多尿、夜間多尿、膀胱畜尿障害、睡眠障害が主な原因である。
 
病歴・診察のポイント  
診断:
  1. 一般診療における診断では、自覚症状の問診(蓄尿症状、排尿症状、排尿後症状)、病歴、既往歴、合併症、服薬歴、水分摂取習慣、身体所見・神経学的所見、検尿、残尿測定を基本評価として行う。症例により排尿日誌、尿細菌検査、超音波検査、血清クレアチニン、血清前立腺特異抗原(PSA)・直腸診察(男性)、砕石台での診察(女性)を行う。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高澤直子 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:堀江重郎 : 特に申告事項無し[2025年]

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