流涙 :トップ    
監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科
永原 幸 国立国際医療研究センター病院 眼科

概要

症状のポイント:
  1. 流涙はさまざまな要因で涙液の分泌と排出のバランスが崩れて生じる。
  1. 涙液が過剰に分泌される状態を分泌性流涙と呼び、生理的なもの、ウイルス、細菌、真菌などの感染による角膜の炎症によるもの、異物(睫毛)、外傷、薬品などによる角膜障害によるもの、ドライアイ、アレルギー性結膜炎、結膜結石によるもの、急性閉塞隅角緑内障によるもの、神経障害によるもの、眼窩の炎症によって生じるものなどがある。
  1. 涙道からの涙液の排出が悪い状態を導涙性流涙と呼び、先天性のもの、涙道(涙小管、総涙小管、涙嚢、鼻涙管)の閉塞(炎症、外傷、腫瘍、加齢[結膜弛緩、眼瞼弛緩])によるものがある。
 
緊急対応: >詳細情報 
  1. 流涙だけでなく、多量の眼脂、眼痛、視覚障害、毛様充血はred flag signであり、緊急で治療が必要となる。
  1. 流涙と充血を引き起こす緊急対応(その場で治療)を要する疾患としては、穿孔性眼外傷(眼球破裂)、感染性眼内炎(内眼手術の術後:<図表>)、急性閉塞隅角緑内障、眼窩蜂巣炎、異物や薬品の飛入が挙げられる。これらが疑われた場合には、即日眼科を受診する必要がある。
  1. 準緊急(翌日受診)の疾患としては、急性涙嚢炎、淋菌・細菌性の角結膜炎、単純ヘルペスウイルス・アデノウイルスによるウイルス性角膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ角膜炎、急性前部ぶどう膜炎、強膜炎、小児では川崎病などが挙げられる。これらの疾患も治療が遅れると、感染リスクを増加させたり、失明、角膜穿孔などを引き起こしたりする可能性があり、疑われた場合には早急に眼科受診を勧める。
 
症状治療・診断的治療:
  1. 診断に基づいて、加療を行う。
  1. 穿孔性眼外傷(眼球破裂)、感染性眼内炎、眼窩蜂巣炎、急性閉塞隅角緑内障、薬品が眼に入った場合、異物(角膜、結膜)、結石、睫毛乱生、アレルギーによる炎症、角膜、結膜への感染症、角膜びらん、急性前部ぶどう膜炎、強膜炎、上強膜炎、川崎病(小児)、急性涙嚢炎、軽度のドライアイ、角膜、結膜の炎症、ドライアイなどの治療方法: >詳細情報 
 
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評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

評価例
  1. 多量の眼脂、眼痛、視野障害、毛様充血はred flag signであり、緊急で治療が必要になることがあり、眼科に早急にコンサルトすることが推奨される。
  1. 痛みや腫れの強さ、発症までの時間で緊急性の判断ができる。細隙灯顕微鏡検査、フルオレセイン染色などを行い、前眼部から中間透光体の状態(角膜、前房深度、房水中の蛋白濃度・細胞数、虹彩と水晶体の状態、硝子体中の細胞数など)、涙液の状態を観察する。涙液検査では、涙および眼表面の検査(シルマーテスト、綿糸法、BUT(涙液層破壊時間)測定、眼脂がある場合は必ず培養検査)を行い、外眼部、前眼部の所見から分泌性流涙の原因を除外しておく必要がある。マイボーム腺の梗塞(機能不全)、慢性結膜炎や涙点閉塞が合併していることがあり、治療が単純でない場合がある。
○ red flagを認める患者では、症状に応じて1)~5)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

流涙診断フローチャート
トラベクレクトミー術後眼内炎(ブレブ感染)
ドライアイ(BUT短縮)
急性涙嚢炎
小児流涙ヘルニア
著者校正/監修レビュー済
2018/08/23

  1. 緑内障診療ガイドライン(第4版)に基づき確認を行った(変更点なし)。