今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山中俊祐 福井大学医学部附属病院 救急部

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2022/12/07
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. コリン作動性クリーゼなどの鑑別疾患を加え定期レビューを行った。

概要・推奨   

  1. 内服から1時間以上が経過した有機リン中毒では活性炭投与は推奨されない。
  1. 有機リン中毒における2-PAMの有効性は示されていない。しかしながら、他の代替治療法がない現状を考えると、コリン作動性中毒症状を認める有機リン中毒で早期(数時間以内)の場合は2-PAMの使用は検討するべきである(推奨度2)
  1. 2-PAMを投与する場合は、最初の静注に続いて持続投与が望ましい(推奨度2)
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要と

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 有機リン中毒、カーバメードは殺虫剤として用いられ、その中毒は農薬中毒のなかで最も頻度が高い中毒である。アセチルコリンエステラーゼ活性が阻害されることによって、副交感神経症状(縮瞳、流涎、流涙、尿失禁、便失禁、気管分泌亢進、気管攣縮、昏睡、けいれん、筋力低下、徐脈など)と交感神経症状の発汗(汗腺はコリン作動性神経で支配されているため、有機リンがコリンエステラーゼを阻害してアセチルコリンの作用を高めるため)が認められる。消化管、気道、皮膚、その他の粘膜などあらゆる経路から吸収される。
  1. 故意に内服した中毒以外に農薬散布中に経皮的、もしくは吸入により有機リンを体内に取り込み中毒症状を呈す場合があり、調剤中や散布中に多い特徴がある。
  1. 有機リン中毒、カーバメード中毒はニコチン作用による症状としてけいれん、筋力低下、頻脈、血圧上昇が認める場合がある。
  1. 有機リン中毒、カーバメード中毒の早期に最も致命的となるのは、中枢神経障害、筋力低下、気管攣縮、気管分泌亢進による呼吸不全である。
  1. 有機リン中毒、カーバメード中毒の約40%の症例に、服用24~96時間後に脳神経症状、呼吸筋麻痺、近位筋の筋力低下などを主症状とした中間症候群とよばれる病態が出現する。多くの場合は1~3週間以内に改善するため、呼吸補助など支持療法が主体となる。ヨウ化プラリドキシム(2-PAM)は無効である
  1. 有機リン中毒、カーバメード中毒は内服数週間後に運動障害・有痛性のparesthesiaを主症状とした有機リン製剤誘導性遅発性末梢神経障害を来すことがある。多くは自然軽快する。
  1. ムスカリン作用とニコチン作用が混在して症状を呈しているときに有機リン中毒、カーバメード中毒での誤診や診断の遅れにつながることがある。
  1. パラコート/ジクワット中毒は体内で還元された活性酸素が肺、肝、腎を中心とした組織障害を起こし、肺線維症が致命的となる。酸素濃度や血流に比例して毒性が強くなるので、高濃度の酸素投与が肺障害を早める。
  1. パラコート/ジクワットは除草剤として用いられ、その中毒は服毒量が致死率に強く相関する。一般に成人で20%溶液30ml以上の服毒は致死的で、これは1~2口で容易に達する量である。
問診・診察のポイント  
  1. 農薬中毒の診断に苦慮することは少ない。有機リン中毒、カーバメード中毒などは副交感神経症状(縮瞳、流涎、流涙、尿失禁、便失禁、気管分泌亢進、気管攣縮、昏睡、けいれん、筋力低下、徐脈など)が強く出現する。原因物質が不明の場合は、これらの副交感神経症状の亢進がないかを検索する。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山中俊祐 : 未申告[2024年]
監修:林寛之 : 講演料((株)メディカ出版),原稿料((株)羊土社)[2024年]

ページ上部に戻る

農薬中毒

戻る