今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山下侑吾 京都大学医学部附属病院 循環器内科

監修: 久保惠嗣 信州大学名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2024/09/04
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会:肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 前回改定から新しいガイドラインは発表されていない。
  1. 定期レビューを行い、わが国から新たに報告された文献を参考に以下について加筆・修正した。
  1. 癌関連PEの外来治療の可能性を示唆する報告がなされた。
  1. 授乳期における抗凝固療法について、イグザレルトが安全に使用できる可能性が報告された。
  1. 症例(典型例・難渋例)を追記した。

概要・推奨   

  1. 急性肺塞栓症の急性期には、未分画ヘパリンをAPTTが1.5~2.5となるように調節投与して、ワルファリンの効果が安定するまで継続する(推奨度1、MJG)
  1. 急性肺塞栓症の急性期には、フォンダパリヌクスを体重別に投与して、ワルファリンの効果が安定するまで継続する(推奨度1、RJG)
  1. 急性肺塞栓症の急性期に、リバーロキサバンもしくはアピキサバンの高用量を投与する(推奨度1、OJ)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肺塞栓症とは、静脈系にできた塞栓子(大部分が血栓)が血流にのって中枢に流れていき、最終的に肺動脈を閉塞させ、その結果、肺動脈の血流が障害されて呼吸や循環に異常を来した状態をいう。多くの場合、急性に血栓塞栓症を生じて速やかな経過をとる急性肺血栓塞栓症を指すが、血栓塞栓が長期にわたって残存して発症時期が明らかでない慢性肺塞栓症や肺高血圧を呈する慢性血栓塞栓性肺高血圧症といった状態も存在する。以下は、血栓塞栓による急性肺塞栓症(acute pulmonary embolism:PE)について記載する。
  1. 四肢筋膜より深く走行する静脈に血栓が生じ、静脈還流に障害を来した病態を深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)という。多くは静脈の弁やふくらはぎの静脈から発生し、身体の中枢部に向かって伸びていく。PEの原因のほとんどはDVTで、両者は1つの連続した病態であり、両者をまとめて「静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)」と呼んで診断、治療、予防を一括してに行っている。
  1. VTEを誘発する因子には、大きく分けて、①血流のうっ滞、②血管内皮の障害、③血液凝固能の亢進――の3つがある。これらの因子がいろいろな程度に絡み合い血栓が作られていく。
  1. 米国では年間20万人がPEと診断されている[1]。日本人には少ない疾患と考えられていたが、最近では白人の4~5分の1の発症頻度であると考えられている[2]
  1. 長時間の飛行機やバスによる移動時に発症する形で知られるエコノミークラス症候群や、災害時の避難生活での発症にて、広く一般にも知られている。
  1. PEは適切な治療の有無が予後を大きく左右するため、早期診断が重要である。発症時にショックとなった重症例では死亡率が18~33%にのぼり、早期に診断できなかった場合の死亡率は突然死例を除いても68%と極めて高率である。適切に診断されれば死亡率は22%にまで抑えられる[3]
問診・診察のポイント  
ポイント:
  1. VTEの発症リスクを確認する。<図表>

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山下侑吾 : 講演料(第一三共(株)),研究費・助成金など(第一三共(株),バイエル薬品(株))[2025年]
監修:久保惠嗣 : 特に申告事項無し[2025年]

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急性肺塞栓症

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