今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 宇野光祐 防衛医科大学校 耳鼻咽喉科学講座

著者: 塩谷彰浩 防衛医科大学校 耳鼻咽喉科学講座

監修: 森山寛1) 東京慈恵会医科大学附属病院

監修: 小島博己2) 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科

著者校正/監修レビュー済:2023/02/08
参考ガイドライン:
  1. 日本頭頸部癌学会編:頭頸部癌診療ガイドライン2022年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 声帯白斑症のうち、異型上皮(dysplasia)は2017年改訂のWHO分類においてLow-gradeとHigh-gradeに分類される。
  1. 喉頭乳頭腫の予防に対するワクチン療法、治療に対するベバシズマブの報告が近年多いため、掲載した。
  1. 頭頸部癌診療ガイドラインが4年ぶりに改訂されたが、喉頭癌に関しては病期分類、アルゴリズムも変更がない。新規事項として早期声門癌の放射線治療として加速照射法(寡分割照射)の有用性、術後再発高リスク群に対するシスプラチンの毎週投与を併用した化学放射線療法が新たなエビデンスとして加えられた。

概要・推奨   

  1. 声帯白斑症は、声帯に白色病変を認める場合に用いる臨床症候名であり、良性の過角化症(hyperkeratosis)から、異型上皮(dysplasia)、さらには上皮内癌(carcinoma in situ)や微小浸潤癌(microinvasive carcinoma)も含まれているので、これらの鑑別が重要である。異型上皮(dysplasia)はさらにLow-gradeとHigh-gradeに分類され、悪性転化する可能性もあるため、経過観察を要する(S)。
  1. 喉頭乳頭腫において近年海外では、予防に関してワクチンの有効性が報告がされており(O)、治療に関してはベバシズマブの静脈内投与が有望視されている(S)。
  1. 早期声門癌の放射線治療として加速照射法は治療選択肢の一つと考えられている(J)。
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まとめ 

まとめ  
  1. 喉頭にはさまざまな腫瘍が発生するが、良性腫瘍のなかでは乳頭腫が、悪性腫瘍のなかでは扁平上皮癌が最も多い。
  1. 声帯白斑症は、声帯に白色病変を認める場合に用いる臨床症候名である。良性の過角化症から異型上皮(dysplasia)、さらには上皮内癌(carcinoma in situ)や微小浸潤癌(microinvasive carcinoma)も含まれているので、鑑別のための生検が必須である。
  1. 喉頭乳頭腫には若年型と成人型がある。若年型喉頭乳頭腫は生後6カ月から4~5歳の間に発症し、多発性再発性傾向が強く、複数回の手術を必要とし、制御に難渋する。しかし、思春期以降にしばしば自然寛解することも多い。Human Papillomavirus(HPV)6型および11型が腫瘍形成に関与している。
  1. 成人型喉頭乳頭腫は単発性のものも多く(一部は若年型のように多発性再発性)、単回の手術で制御されることも多いが、ときに癌化することもある。
  1. 喉頭癌は喫煙が最大の発癌危険因子で、声帯に発生する声門癌が65~70%、声帯の上に発生する声門上癌が30~35%、声帯の下に発生する声門下癌はわずかである。
  1. 声門癌T1では放射線でも手術でも80~90%制御可能で、喉頭癌全体でも65~70%の5年生存率が得られる。
  1. T3、T4の進行癌には喉頭全摘出術が選択されることが多かったが、進行癌に対しても化学放射線治療や喉頭機能温存手術により、喉頭機能を温存する努力がなされている。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 嗄声の有無、その経緯:2週間以上続く嗄声では、腫瘍や良性腫瘤を含め、声帯の器質的疾患を疑う。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
宇野光祐 : 特に申告事項無し[2024年]
塩谷彰浩 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:森山寛 : 未申告[2024年]
監修:小島博己 : 特に申告事項無し[2024年]

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喉頭腫瘍(白斑症、乳頭腫、癌)

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