今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 稲森正彦 横浜市立大学 医学教育学

監修: 木下芳一 兵庫県立はりま姫路総合医療センター

著者校正/監修レビュー済:2023/02/22
参考ガイドライン:
  1. 日本消化器病学会:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021 改訂第3版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 2021年に改訂された、胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021 改訂第3版に基づき、治療フローチャートの記載などについて変更を行った。

概要・推奨   

  1. 呑酸を訴える患者の多くは、胃酸の食道への逆流による症状、つまり胃食道逆流症が原因です。胃酸が逆流する原因は、胃酸の増加、ピロリ菌感染率の低下、食道裂孔ヘルニア、肥満、加齢が挙げられる。
  1. 典型的な症例では酸分泌抑制薬が著効する。

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 呑酸は、のどの辺りや口の中が酸っぱいと感じる、あるいは胃の内容物が逆流する感じがする症状である。
  1. 原因疾患は、主に胃食道逆流症であり、最近は日本人にも増加してきている。背景には、食の欧米化や日本人の体格の向上などがある。内臓脂肪型肥満や高齢女性の背骨の変形により、胃酸の逆流が起こりやすくなってきている。
  1. 内視鏡検査を必ず受けなければならないというわけではない。
  1. 食事や生活習慣の改善に加え、胃酸の分泌を抑える薬(カリウム競合型アシッドブロッカー[P-CAB]やプロトンポンプ阻害薬[PPI])で治療する。食事の摂取量を抑え、特に脂肪分が多い料理を控える。また食べてすぐ横になるのを避ける。
 
  1. 呑酸とは、のどの辺りや口の中が酸っぱいと感じる、あるいは胃の内容物が逆流する感じがする症状のことです。呑酸を訴える患者の多くは、胃酸の食道への逆流による症状、つまり胃食道逆流症が原因です。胃酸が逆流する原因は、胃酸の増加、ピロリ菌感染率の低下、食道裂孔ヘルニア、肥満、加齢が挙げられる。(参考文献:[1][2]
  1. 呑酸を主訴に受診する外来患者は、緊急性の高い患者は少ないが、胃食道逆流症以外に常に鑑別すべき疾患を意識しておく必要がある。消化器疾患としては、胃・十二指腸潰瘍、食道癌、胃癌、食道アカラシア、 耳鼻咽喉科領域としては咽頭違和感、慢性喉頭炎、咽頭喉頭腫瘍、さらに精神心理的要因、循環器疾患として、狭心症、心不全、呼吸器領域の慢性咳嗽、気管支喘息、慢性気管支炎などがある。内視鏡検査は必須ではないが、患者の状態に応じて施行する必要がある。また酸分泌抑制薬の内服治療により症状が改善した場合も、ほかの症状の出現に注意しておく必要がある。
問診・診察のポイント  
  1. 胃酸逆流による症状は主に食後2~3時間以内に生じることが多いため、食後の症状であるかどうか、過食後、高脂肪食摂取後などにも生じやすいので、関連があるかどうかを聞く。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
稲森正彦 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:木下芳一 : 講演料(武田薬品工業(株),大塚製薬(株),ヴィアトリス製薬(株))[2025年]

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呑酸

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