今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 岸田直樹 感染症コンサルタント/北海道科学大学・東京薬科大学 客員教授

監修: 倉井華子 静岡がんセンター感染症内科

著者校正/監修レビュー済:2024/09/18
参考ガイドライン:
  1. 日本化学療法学会、日本感染症学会:Clostridioides difficile感染症診療ガイドライン2022
  1. International Society for Infectious Diseases(ISID):Position paper on the prevention of Clostridioides difficile in hospitals (2020)
  1. North American Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition (NASPGHAN) and the European Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition (ESPGHAN): Joint position paper on fecal microbiota transplantation for recurrent Clostridium difficile infection and other conditions in children (2019)
  1. World Society of Emergency Surgery (WSES):Guidelines for management of Clostridioides (Clostridium) difficile infection in surgical patients, update (2019)
  1. American Society of Clinical Oncology(ASCO):Guideline for the management of Clostridium difficile infection in children and adolescents with cancer and pediatric hematopoietic stem-cell transplantation recipients (2018)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、下記について加筆した。
  1. 再発予防として抗トキシンB抗体であるベズロトクスマブ(ジーンプラバ)が選択肢となるが、わが国では2023年にMSD株式会社より販売中止の通達があり、2024年4月1日以降は保険請求不可となっている。「世界的な需要減少による供給体制の再編による販売中止」が理由だが、海外ではまだ使用可能となっている。
  1. また、症例を追加した。詳細は本文を参照されたい。
  1. 典型例:誤嚥性肺炎の抗菌薬治療中に本疾患を発症した例である。この場合は、もともと使用している抗菌薬の調整が重要である。また、誤嚥性肺炎への嫌気性菌カバーの抗菌薬使用はクロストリジオイデス感染症を優位に発生させるため、誤嚥性肺炎での嫌気性菌カバーの抗菌薬のルーチンでの使用は控えたい(Bai AD, et al. Chest. 2024 Jul;166(1):39-48.)。
  1. 難治例:全大腸切除術が検討された重症度の高い例である。高齢者では、先行する抗菌薬使用がそれほど広域抗菌薬でなく、長期使用でなくても本疾患を発症することがあるため注意が必要である。

概要・推奨   

  1. クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile:CD)感染症では、再発なのか再感染なのかを明確に分けることはできない。しかし、病歴や症状の程度などから再発を積極的に疑うことが推奨される(推奨度2)
  1. 説明がつかない白血球増多症に院内で出合う機会は意外に多い。その白血球増多症の原因としてクロストリジオイデス感染症で説明可能かもしれない。消化器症状が軽微であってもクロストリジオイデス感染症を疑うことは大切であり、CD toxinチェックを行うことが推奨される(推奨度2)
  1. 海外のガイドラインでは、重症度によらずクロストリジオイデス感染症ではバンコマイシン(塩酸バンコマイシン)やフィダキソマイシン(ダフクリア)を第1選択にすべきとされている。特に欧米では重症患者でのメトロニダゾール(フラジール)による治療失敗が問題となっている。日本ではまだ重症例は多くないとされるが、院内で集団発生している場合などは早期の終息、治療失敗を避ける治療選択が重要となる。重症例や再発例などの場合は、バンコマイシンやフィダキソマイシンによる加療を検討することが推奨される(推奨度3)
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
岸田直樹 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:倉井華子 : 特に申告事項無し[2024年]

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