今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 松橋信行 総合東京病院 消化器疾患センター

監修: 上村直実 国立健康危機管理研究機構(JIHS)国立国府台医療センター/東京医科大学消化器内視鏡センター

著者校正済:2025/04/09
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本消化管学会:便通異常症診療ガイドライン2023 慢性便秘症
  1. American Gastroenterological Association-American College of Gastroenterology Clinical Practice Guideline: Pharmacological Management of Chronic Idiopathic Constipation
  1. 日本消化器病学会:機能性消化管疾患診療ガイドライン2020 - 過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)
  1. 日本看護科学学:看護ケアのための便秘時の大腸便貯留アセスメントに関する診療ガイドライン
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 前回の改訂以降、便秘症に関する新たなガイドラインは公表されていない。
  1. 便秘型過敏性腸症候群について論及した。
  1. 『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020 - 過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)』では、本症候群に対しては食物繊維、消化管運動機能調節薬、プロバイオティクス、5-HT4刺激薬、下剤などの有効性が提示されている。
  1. 『看護ケアのための便秘時の大腸便貯留アセスメントに関する診療ガイドライン』を参照に、高齢者看護などにおける便秘の評価としてポケットエコーが普及しつつあることについて追記した。

概要・推奨   

診断
ポイント
  1. 高齢者の新規の便秘では、大腸癌 の除外を念頭におくこと。
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病態・疫学・診察 

疫学・病態・予後  
定義:
  1. 便秘とは、本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状態・硬便、排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態をいう。
  1. 慢性的に続く便秘のため日常生活や身体に様々な支障を来す病態を慢性便秘症と定義する。便秘であってもそのような支障がなければ便秘症とはしない(“便秘”は状態名、“便秘症”は疾患名である)。
  1. 機能性便秘症と便秘型過敏性腸症候群は連続したスペクトラムであり明確に鑑別することは困難である。(「過敏性腸症候群」の項を参照)。
 
疫学:
  1. 便秘症患者は非常に多く、慢性便秘症の有病率はおよそ10~15%と見積もられる。
  1. 女性のほうが多いが男女とも加齢とともに便秘有病率は増加し、70歳以上では性差がなくなっていく。
  1. 慢性便秘症の背景因子・発症リスクとしては性別(女性)、加齢、身体活動性の低下、不規則ないし偏った食生活、便所の構造(排便姿勢)、諸種の薬剤、基礎疾患(精神神経疾患など多種)、排便を我慢する習慣、過剰な厚着や暖房、腹部手術歴などがある。
 
病態:
  1. 日本消化管学会のガイドラインでは慢性便秘症を下図のように分類している[1]
 
慢性便秘症の分類

出典

「日本消化管学会編:便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症,p.5,2023,南江堂」より許諾を得て転載.
 
  1. 慢性便秘症は単一の疾患ではなく種々の病態を内包した疾患概念である。
  1. 慢性便秘症の原因は多岐にわたる。明らかな原因のない一次性のほか、二次性として薬剤性、他の全身性疾患に伴う症候性、器質性などがある。
  1. 症状からは排便回数減少型と排便困難型に分類する。
  1. 病態からは大腸通過正常型(便の大腸通過時間が延長していないもの。旧分類での痙攣性便秘と重なる)、大腸通過遅延型(便の大腸通過時間が延長しているもの。旧分類での弛緩性便秘と重なる)、便排出障害に分類する。
  1. 機能性便排出障害は、直腸肛門に器質的異常がないにもかかわらず、便排出能低下や排便困難感を生じる状態のことである。
  1. 女性の便秘では大腸蠕動の低下による大腸通過遅延型が多い。
  1. 直腸肛門の機能低下による排便困難型は高齢者で多くなる。
  1. 特に、高齢化の進展に伴い多種の薬剤を常用する例が増えた結果、副作用としての薬剤性便秘症が多くなっていることに注意する(「ポリファーマシー」)。
  1. 実際の症例では、必ずしもこれらのうちの1つに明確に分類できるわけではない。
  1. 慢性便秘症では腸内細菌叢のバランスに変化があることが示されている。
 
予後:
  1. 慢性便秘症はQOLを低下させる[2]
  1. まれに腸穿孔を合併することもある。
  1. 慢性便秘症は心血管疾患、パーキンソン病、腎疾患、認知症などのリスクとの関連が示されており[3][4][5]、長期予後に関連する可能性があるが、大腸癌発生への関与は不明である。
  1. 治療に反応することが多いが、排便が薬剤依存性になることもある。

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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
松橋信行 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:上村直実 : 講演料(武田薬品工業(株),大塚製薬(株))[2024年]

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