今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 石丸直人 明石医療センター総合内科

監修: 前野哲博 筑波大学医学医療系 地域医療教育学

著者校正/監修レビュー済:2024/02/07
参考ガイドライン:
  1. 欧州蘇生協議(ERC):ERC蘇生ガイドライン 2021
  1. 山岳救助国際委員会(ICAR):ICAR-MEDCOM勧告 2021
  1. 米国野外救急学会(WMS):WMS診療ガイドライン 2019
  1. 日本蘇生協議会JRC蘇生ガイドライン 2015
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、JAAM ICE-CRASH study(文献[33])をもとに、膜型人工肺使用についての報告を追記した。

概要・推奨   

  1. 低体温が疑われる患者には、直腸温や膀胱温などにより中心体温を確認し、死亡率の高いHT II以上の低体温を同定することが勧められる(推奨度1)
  1. 高齢者は低体温になりやすく低体温に弱いため、寒冷環境を避けることが勧められる(推奨度2)
  1. 徐脈や呼吸数低下を認める患者には、HT II以上の低体温が疑われ、中心体温を確認することが勧められる(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 低体温は、中心体温が35℃未満と定義される。
  1. 低体温は、従来軽症(32~35℃)、中等症(28~32℃)、重症(28℃未満)に分類されていたが、現在ではSwiss staging system(stage HTI-HT V)で分類される。HT II以上の低体温の死亡率は約40%と高い。
  1. 循環動能が安定した低体温患者の神経学的治療予後は100%回復するが、体外加温で加療された心停止患者の神経学的治療予後回復率は約50%である。
  1. 低体温により細胞膜機能が傷害されることで、細胞内液が貯留し、酵素機能障害、電解質異常が生じる。
  1. 寒冷ストレスに対し、視床下部は震えや甲状腺、交感神経、副腎の活性を増加することで、熱産生を刺激する。
  1. 高齢者は低体温になりやすく低体温に弱いため、寒冷環境を避けることが必要である。
  1. Swiss staging system
  1. HT Iは中心温度32~35℃で意識清明、振戦がある。
  1. HT IIは中心温度28~32℃で意識障害を認め、振戦はない。
  1. HT IIIは中心温度24~28℃で意識はなし、振戦はないが、バイタルサインは認める。
  1. HT IVは中心温度13.7~24℃でバイタルサインは認めない。
  1. HT Vは中心温度9~13.7℃で不可逆性の低体温による死亡している。
  1. Swiss staging systemを用いたステージングには、中心温の過大評価、32℃未満でも振戦が存在し得る、といった課題があり、Revised Swiss Systemが提唱されている[1]。 Revised Swiss Systemでは、AVPU(Alert、Verbal、Painful、Unconscious)スケールによる重症度評価を行い、今後は同指標に改訂される予定である。
  1. わが国での後ろ向き観察研究では、75歳以上、日常生活活動度(ADL)要支援、血行動態不安定、高カリウム血症が入院死亡率と関連しており、5Aスコアリングモデルが提唱されている[2]。一方で、SOFAスコアが5Aスコアリングモデルよりも入院死亡を予測する点で優れた弁別能を有するという報告もある[3]
  1. イスラエルでの後ろ向き観察研究では、70歳以上、収縮期血圧90 mmHg未満、pH7.35未満、Cre1.5 mg/dL以上、最近の意識障害が30日死亡率と関連しており[4]、わが国でもその妥当性が検証された[5]。わが国では、女性、収縮期血圧81 mmHg未満、Cre1.5 mg/dL以上が30日死亡率と関連していた。
 
低体温中等症患者の手足における重症凍傷

手足に腫れや水疱が見られる症例

出典

John L. Cameron, and Andrew M. Cameron:Current Surgical Therapy, Twelfth Edition.The Management of Frostbite, Hypothermia, and Cold Injuries. 1298-1303,FIGURE 2,Elsevier,2016
 
  1. 高齢者は低体温になりやすく低体温に弱いため、寒冷環境を避けることが勧められる(推奨度2)
  1. まとめ:高齢者は低体温を起こしやすく、特に認知症がある場合には寒冷環境を避けることが必要である。
  1. 代表事例:例えば、65歳以上が低体温による死者の半数を占めると報告されている[6]。また、17人の高齢者と13人の若年者を比較した研究では、高齢者では若年者と比べ温冷覚の低下を認めたと報告されている[7]。さらに、47人の高齢患者を5年間追跡した研究では、高齢者では寒冷刺激に対する温度調節機能低下が年齢とともに進行したことが報告されている[8]。特に、認知症患者は、寒冷環境において不適応行動をとってしまうと報告されている[9]
  1. 結論:このことから、高齢者、特に認知症がある場合には、寒冷環境を避けることが推奨される。
問診・診察のポイント  
  1. 以下の低体温でみられる所見とともに、並行して低血糖、脱水、薬物中毒、外傷、感染症などの所見を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
石丸直人 : 特に申告事項無し[2025年]
監修:前野哲博 : 特に申告事項無し[2025年]

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