今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 瀬良誠 福井県立病院 救命救急センター

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2023/01/11
参考ガイドライン:
  1. Guidelines for the Management of Severe Traumatic Brain Injury 第4版
  1. 頭部外傷治療・管理のガイドライン(第4版)
  1. 小児重症頭部外傷ガイドライン(第3版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 「小児重症頭部外傷ガイドライン3版」発行に伴い小児重症頭部外傷の項を設け、前版との変更点を含め、推奨やアルゴリズムを追加した。

概要・推奨   

  1. 重症頭部外傷はまだ確立されたエビデンスが乏しく、国内外のガイドラインでは「すべきこと」よりも「避けること」「してはいけないこと」に重点がおかれている。
  1. 重症頭部外傷では2次性脳損傷の予防に重点がおかれる。
  1. 低血圧(収縮期血圧110~120mmHg)と低酸素(SpO2<90%)は明らかな予後不良因子のため、これらを回避することに細心の注意を要する。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 頭部外傷は米国では年間140万人、そのうち110万人が救急受診し入院が23万5000人に上る。
  1. 原因としては主に以下が挙げられる。
  1. 転落:28%(0~4歳と75歳以上に多い)
  1. 交通事故:20%(15~19歳に多い)
  1. 米国では頭部外傷で年間5万人が死亡し、鈍的外傷による死亡率は頭部外傷がなければ1%、あれば30%にまで跳ね上がる。
  1. 重症頭部外傷とはGlasgow Coma Scale(GCS)8以下を指し、頭部外傷の約10%を占める。
  1. 重症頭部外傷では2次性脳損傷を予防することに重点が置かれ、下記の状態を回避することを目標とする。特に低血圧と低酸素は明らかな予後不良因子であるため、治療の際には細心の注意を要する。収縮期血圧下限閾値については90mmHgでは低すぎるという報告も多く、110~120mmHgを目標下限閾値としたほうがよい。
  1. 低血圧(収縮期血圧[SBP]<110mmHg)
  1. 低酸素(SpO2<90%)
  1. 低炭酸ガス血症(PaCO2<35mmHg)
  1. 発熱(BT>38℃)
  1. 凝固異常
  1. 貧血
  1. 重症頭部外傷では他部位の外傷を合併していることが多く(35~60%)、特にバイタルサインに異常がある(ショックバイタル)場合、頭部外傷以外の原因検索を必ず行う。 >詳細情報  >詳細情報 
 
  1. 65歳以上の高齢者における単独重症頭部外傷では65歳未満と比べGlasgow Coma Scale(GCS)が高い傾向にある。そのため高齢者の頭部外傷にGCSをトリアージ手段として利用する場合は注意が必要である(推奨度2)
  1. 561人の単独頭部外傷患者を65歳で区切り、65歳未満群244人、65歳以上群317人でそれらの来院時GCSとabbreviated injury scale(AIS)の関連を調べた[1]
  1. AISとは解剖学的な重症度のことをいい、AIS3~5で重症、例えばAIS3で頭蓋底骨折、AIS4で硬膜下血腫(≦50cm3)、AIS5で巨大硬膜外血腫である。
  1. 来院時GCSが3~8の65歳以上の重症頭部外傷患者は9.8%(65歳未満では22.1%)にも関わらず、AIS5の65歳以上の患者は45.1%(65歳未満では37.3%)であった。
  1. 死亡患者では65歳以上群の来院時GCS11(中央値)であり、65歳未満群の来院時GCS4.5(中央値)に比べ有意に高かった。
  1. 6,710人の頭部外傷患者(他部位の外傷含む)を65歳で区切り、65歳未満群4,910人、65歳以上群1,800人でGCSとAISの関連を調べた[2]
  1. AIS5かつGCS3~8の患者は65歳以上では30.57%(65歳未満では63.28%)であったが、逆にAIS5かつGCS13~15の患者は65歳以上では56.33%(65歳未満では28.53%)であり、65歳以上の高齢者をGCSで評価すると重症度を過小評価される傾向にあった。しかし、この研究では死亡率については年齢とAISあるいはGCSとの関連を認めなかった。
問診・診察のポイント  
  1. 問診ではAMPLE(allergies, medications, past medical history, last meal, events/environment related to the injury)の聴取を行い、受傷機転や意識消失の有無、けいれんの有無、アルコールあるいはドラッグの使用についても適宜追加聴取する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
瀬良誠 : 旅費,贈答品など(日本救急医学会)[2024年]
監修:林寛之 : 講演料((株)メディカ出版),原稿料((株)羊土社)[2024年]

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