今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 木村宗芳 虎の門病院 臨床感染症部臨床感染症科

監修: 荒岡秀樹 虎の門病院 臨床感染症部

著者校正/監修レビュー済:2025/01/15
参考ガイドライン:
  1. 米国感染症学会(The Infectious Diseases Society of America:IDSA):「がん患者の発熱好中球減少症への抗菌薬の選択のためのガイドライン」(Clinical practice guideline for the use of antimicrobial agents in neutropenic patients with cancer: 2010 update by the infectious diseases society of America 2011)
  1. 米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)・米国感染症学会(IDSA):「悪性疾患治療中の成人の発熱性好中球の外来マネージメントのためのガイドライン」(Outpatient Management of Fever and Neutropenia in Adults Treated for Malignancy: American Society of Clinical Oncology and Infectious Diseases Society of America Clinical Practice Guideline Update 2018)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について加筆した。
  1. 2022年にオランダから報告された造血幹細胞移植患者を含む成人血液疾患患者を対象としたオープンラベルの前向きランダム化非劣性試験(非劣勢マージン10%で設定された)において、感染源不明かつ原因微生物が判明しなかった発熱性好中球減少症(FN)患者を短期間のカルバペネム系抗菌薬で治療した群は、カルバペネム系抗菌薬の長期投与を継続した群と比較して治療失敗率において非劣勢が示された(de Jonge NA, et al. Lancet Haematol. 2022 Aug;9(8):e563-e572.)。
    結果を総合的に解釈すると、FN発症後72時間の段階で解熱している症例を対象にすれば、カルバペネム系抗菌薬投与を中止し、フルオロキノロン系抗菌薬の予防投与に戻す抗菌薬デ・エスカレーション(de-escalation)戦略は安全に実施できることが示唆される。一方で、FN発症後72時間の段階で発熱が持続している場合には、一部の症例を除き、一律に安全なde-escalationを行うことは出来ないことが示唆された。

概要・推奨   

  1. 発熱性好中球減少症(febrile neutropenia、FN)の状態では、感染の事実が確認される前に速やかに広域の抗菌薬の投与を行うことが推奨される(推奨度1)
  1. FNに対する経験的抗菌薬治療においては、従来から緑膿菌を含む広域なスペクトラムを有するものが推奨されており(推奨度1)、さらに近年ではこれらのカバーだけでは無く、緑色連鎖球菌や肺炎球菌といったグラム陽性球菌への活性を併せ持つβラクタム抗菌薬(第4世代セフェム系抗菌薬、ピペラシリン・タゾバクタム、カルバペネム系抗菌薬)を単剤で投与することが推奨される。
  1. 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の予防的投与の有用性とそれが予後に与える影響について。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 抗癌薬治療中の患者の、重要な副作用の1つとして骨髄抑制がある。それにより、白血球・赤血球・血小板の減少が起こり得る。
  1. 骨髄抑制による好中球減少時に生じた発熱の状況を、総称して「発熱性好中球減少症(febrile neutropenia、FN)」と呼ぶ。
  1. FNの定義は、絶対好中球数(absolute neutrophil count、ANC)が500/mm3未満、もしくは1,000/mm3未満で今後48時間以内に500/mm3未満になることが予測される状況下で、深部体温38.3℃以上の発熱あるいは1時間以上継続する38℃以上の発熱が生じている状況、である。我が国の多くの医療機関が行っているように腋窩体温を用いる場合は37.5℃以上の発熱を認める場合として定義されていることに注意する。
  1. 抗癌薬の副作用による死亡原因のなかで、FNによるものが第1位である。経験的抗菌薬療法が確立する以前には、その死亡率は75%にも達していた。
  1. 速やかな対応が求められる、内科的emergencyの病態であり、ASCOのガイドラインでは発熱から治療開始まで60分以内となることを推奨している。治療の基本は、リスクに応じた経験的抗菌薬療法の開始である。また、高齢者やステロイド投与中であれば発熱を認めないこともあるため、臨床的に感染症を疑えば迷わず治療を開始することが求められる。
  1. 使用するレジメンや患者の状態によっては、G-CSFの予防投与、抗菌薬の予防投与も検討する。
問診・診察のポイント  
  1. 先行した抗癌薬化学療法からの経過日数をチェックする。一般的には、抗癌薬投与後10~14日で好中球は最小となる。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
木村宗芳 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:荒岡秀樹 : 特に申告事項無し[2024年]

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発熱性好中球減少

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