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著者: 藤崎順子 早期胃癌検診協会

監修: 木下芳一 兵庫県立はりま姫路総合医療センター

著者校正済:2024/12/11
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本食道学会:臨床・病理食道癌取扱い規約 第12版 
  1. 日本食道学会:食道癌診療ガイドライン 2022年版
  1. AGA clinical practice update on Endoscopic Treatment of Barrett's Esophagus with Dysplasia and/or Early cancer: Expert review. Gastroenterology. 2020;158:760-69
  1. AGA clinical Practice Guideline on Endoscopic Eradication Therapy of Barrett's Esophagus and Related Neoplasia. Gastroenterology. 2023;166:1020-1055
  1. ASGE guideline on screening and surveillance of Barrett’s esophagus Prepared by: ASGE STANDARDS OF PRACTICE COMMITTEE. GIE. 2019;90:335-59
  1. Diagnosis and management of Barrett esophagus : European Society of Gastrointestinal Endoscopy(ESGE) guideline. Endoscopy. 2023;55:1124-46
  1. 日本消化器病学会:胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『食道癌取り扱い規約第12版』、『食道癌治療ガイドライン2022年版』に従い改訂を行った。主な内容は以下のとおりである。
  1. バレット食道の長さに関して変更があった。規約第11版ではバレット食道全周3 cm以上がLong Segment Barrett’s Esophagus(LSBE)とされていたが、改定後、欧米と同様一部でも3 cm以上のバレット粘膜を認める場合はLSBEと定義された。
  1. 食道癌ではSM1の基準は200 μm以内と定義されていたが、食道腺癌と扁平上皮がんを区別し、腺癌ではSM1を500 μm以内とし、500 μmをこえる場合はSM2と定義された。

概要・推奨   

  1. ロングバレット食道(Long Segment Barrett’s Esophagus:LSBE)は発癌リスク因子の1つと考えられている[1]
  1. 胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease:GERD)がバレット食道の発生と関連することがいわれている[1]
  1. 慢性のGERD症状では、バレット食道のスクリーニングのため上部消化管内視鏡検査が推奨される(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
バレット食道:
  1. バレット食道とは、食道下端の扁平上皮が胃から連続する円柱上皮で置換された状態である。
  1. 食道胃接合部とSCJ(squam-columnar junction)に挟まれた部分がバレット粘膜である。
  1. わが国における診断は、食道癌取扱い規約第12版に従っている(J)[2]
  1. 食道癌取扱い規約(J):
  1. 欧米(英国を除く)ではバレット食道の診断に腸上皮化成の存在が必須であり、わが国と異なる。
  1. バレット食道の発生には食道内酸、胆汁酸逆流が大きく関与する(J)[3]。食生活の変化、肥満の増加、H. pylori 感染率の低下などにより、逆流性食道炎をはじめ胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease:GERD)の患者が急増しており、その結果、バレット食道さらにはバレット食道癌の患者が増えることが危惧されている。
  1. 日本におけるバレット食道の頻度は報告者により大きく異なる。LSBEの頻度は1%以下とする報告が多い。Matsuzakiらは健常者を対象とした研究で逆流性食道炎症状のある群ではSSBEが15.7%(34/216)、非逆流性食道炎群ない群で4.4%(105/2,392)に比較して高いことが報告されている[2][3]
  1. GERD患者の中でも加齢、男性、喫煙、肥満がバレット食道の独立した危険因子であることがいわれている[5]
  1. 日本における有病率は、LSBE 0.2%、SSBE 20.8%が報告されている(J)[5]
  1. 欧米における診断基準はわが国と異なり、特殊腸上皮化成(specialized intestinal metaplasia:SIM)の存在が重要となる。
  1. バレット食道からの食道腺癌の発生率は年率0.1~0.6%と報告されている[6][7][8]。LSBEで発癌ポテンシャルが高いことが報告されている[9][10]。最近のわが国からの多施設によるLSBEの向こう5年にわたる追跡調査では、年率1.2%の腺癌の発生があり、既報の欧米の発がん率とほぼ同等であった[11]。このことからもLSBEにおける年1回の上部消化管内視鏡検査によるサーベイランスが必要であると考えられる。
 
  1. GERDがバレット食道の発生と関連することがいわれている(Rs)。
  1. バレット食道からhigh grade dysplasiaへ進展し、その後、浸潤癌に発展する頻度は5年以内に30~35%と高く、バレット食道癌の予後は5年生存率が15~20%と悪い[12]
  1. わが国ではhigh grade dysplasiaは高異型度腺癌(非浸潤性)にあたる(J)[13]
 
  1. LSBE患者には年1回の上部消化管内視鏡検査(EGD)が勧められる。
  1. LSBE経過観察中、5年後にバレット食道癌が発見された。
  1. 病歴:胸やけ症状があった。
  1. 診察:2006年のEGDでLSBEが確認された。
  1. 治療:PPIは近医で投与され、定期的な内服は行っていなかった。
  1. 転帰:ESDが行われ、病理診断では深達度SM2、追加手術が施行された。
  1. 追記:胸やけ症状があり、年に1回EGDが近医で行われていた。バレット食道内の隆起性病変が発見され、生検で腺癌の診断がついた。
 
バレット食道腺癌

a:2006年LSBE
b:2012年隆起の部分より腺癌

出典

著者提供
 
バレット食道癌:
  1. 欧米ではバレット腺癌が増加しており、全食道癌の70%を超えている。
  1. わが国の食道腺癌の割合は2001年2%、2006年4%、2015年7.2%と報告されておりわずかに増加傾向である[14][15]
問診・診察のポイント  
  1. GERD症状があるかについて問診を行う(推奨度1)。バレット食道癌があれば、食道のつかえ感などの症状を訴えることがある。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
藤崎順子 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:木下芳一 : 講演料(アストラゼネカ(株),武田薬品工業(株),大塚製薬(株),ヴィアトリス製薬(株))[2024年]

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バレット食道(バレット食道癌含む)

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