今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 東禹彦 東皮フ科医院

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2021/12/01
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、一部説明を補足した。

概要・推奨   

  1. 爪の異常は、先天性疾患に伴う異常と後天的な原因による異常に分けられる。
  1. 先天的な異常で末節部に限局した異常では、末節骨に異常を認める。
  1. 後天的な爪の異常の原因は全身性疾患、皮膚疾患、爪部の感染症、爪部に対する外的刺激、爪部の腫瘍と原因不明の爪母炎である。
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病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 爪の異常は、先天性疾患に伴う異常と後天的な原因による異常に分けられる。
  1. 先天的な爪の異常は、出生時あるいは生後間もなく生じることが多く、先天性疾患の診断に役立つ。
  1. 先天的な異常で末節部に限局した異常では、末節骨に異常を認める。
  1. 後天的な爪の異常の原因は全身性疾患、皮膚疾患、爪部の感染症、爪部に対する外的刺激、爪部の腫瘍と原因不明の爪母炎である。
  1. 全身性疾患による爪異常は、すべての爪に左右対側性に同じ変化をほぼ同時に生じる。
  1. 皮膚疾患による爪の異常は、皮膚のどこかに皮疹を生じていることが多い。
  1. 爪部の感染症による爪の異常は、爪部に起因菌が存在する。
  1. 爪部に対する外的刺激による爪の異常は、爪に特異な変形を生じる。
  1. 爪部の腫瘍による爪の異常では、腫瘍による爪甲の変形を認めることが多い。
  1. 原因不明の爪母炎は、多くの爪に同時に多発することが多く、大抵はすべての爪が罹患する。爪異栄養症。
 
原因不明の爪異常:爪異栄養症

病 歴:37歳、女性。何年も前からすべての指趾爪に変形を生じている。後爪郭部には痒みを伴っている。
診 察:すべての爪甲の表面には縦走する線条があり、鱗屑を付着している。後爪郭部は少し、腫脹している(a)。
診断のためのテストとその結果:組織検査が必要であるが、実施しなかった。臨床的には爪真菌症様爪炎に一致する所見である。
治 療:デルモベート軟膏を後爪郭部から爪甲表面にかけて塗布させ、クラリチン 1錠/日の投与を行った。
転 帰:1年半後にはかなり軽快し(b)、その後治癒したが、その後治療を中断し、再発した。
a:初診時
b:1年半後

出典

東 禹彦、ほか:爪真菌症様爪炎の組織学的検討.皮膚 1997;39:469-474.
 
原因不明の爪異常:爪異栄養症

病 歴:20歳、女性。2年前からすべての指・趾爪に点状の凹みと細かい縦筋が生じるようになり受診した。
診 察:すべての爪甲表面に点状の凹みを多数認め、縦条も認めた(a)。
診断のためのテストとその結果:組織検査を行ったが、爪母に湿疹に一致する所見を認めた。
治 療:後爪郭部から爪甲にかけてリンデロンDP軟膏を1日2回塗布させた。
転 帰:3年後にはほぼ正常となった(b)。
a:初診時
b:3年後

出典

著者提供
問診・診察のポイント  
  1. 爪の異常の原因は多岐にわたるので、丁寧に問診し、全身の皮膚をみるようにする。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
東禹彦 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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爪の異常

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