今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 陳科榮 目黒陳皮膚科クリニック

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、発症機序にミエロペルオキダーゼを追記した。

概要・推奨   

  1. 下腿の触知性紫斑を呈する症例で20歳以下、特に小児の場合は圧倒的にIgA血管炎が多い。一方、成人例には他の血管炎も多いので、20歳以下の診断基準と分ける必要がある。
  1. 成人はまれに薬剤や肺癌などの固形癌が原因疾患の場合があり、それらについての検索も必要。
  1. 成人例は小児より腎症の頻度が高く、しかもより重症になる傾向がある。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
疫学:
  1. 約75%の患者は3~15歳の小児や少年であり、秋、冬に多く、夏は少ない。年間発症率数は17歳以下の人口10万人あたり15人である。
  1. 皮膚、消化管、腎糸球体腎炎および関節痛などの症状がみられ、これらの症状は数日から数週の間隔をあけてみられる。
  1. 女児よりやや男児に多い傾向(1:1.4)があり、成人では一般に発病率は少なく性別差もない。
  1. 2歳以下の乳幼児の発症はまれだが、上気道感染後、顔面や上腕に一過性の浮腫と出血斑を呈する乳幼児急性出血性浮腫(acute hemorrhagic edema of infancy)が特徴で、圧倒的に男児に多い。(図<図表>
 
病態:
  1. IgA血管炎(同義語:Henoch-Schönlein紫斑、アナフィラクトイド紫斑[anaphylactoid purpura、AP])は皮膚、腎に蛍光抗体法にてIgA、C3の沈着がみられ、患者血中にIgA高値およびIgA免疫複合体陽性を認めるので、IgA(主にIgA1)免疫複合体血管炎であると考えられている。
  1. その発症機序はまだはっきりわからないが、免疫複合体が主に細静脈(毛細血管や細動脈も)の微小血管壁に沈着し、そのIgA1のhinge部分が細菌やウイルスなどの作用によって高分子化されることで、補体を活性化する。補体の活性は古典的経路を介さず、alternative経路により、その過程で生じたC3やC5が好中球を遊走、活性化させ、その好中球から出された細胞毒性顆粒蛋白(特にエラスターゼ、ミエロペルオキダーゼ)や活性酸素が内皮細胞をはじめとする血管壁の破壊を来し、赤血球や血漿成分を含む血管内成分が血管外へ漏出する病態である。
  1. 血管炎をもたらすと同時に、腎のメサンギウムのIgA受容体にも結合して、メサンギウム細胞の増殖を促進する病態に関与すると考えられる。
  1. 小児患者の半数は上気道感染に続いて発症するので、溶連菌やパルボウイルスなどの感染病原体、また成人例は悪性腫瘍や薬剤が関与する例もあるが、抗原を断定することは難しい。
 
予後:
  1. 大半の症例は3~4週間で軽快するが、再発は約1/3の症例にみられる。
  1. 進行性腎不全や末期の腎障害にならない限り、予後はよい。
  1. ほぼ必発の皮疹と腎炎の病勢の相関性は必ずしも一致しないが、躯幹まで及ぶ広範囲の皮疹と血疱を混じた症例には、腎症の合併が多い。
  1. 成人例は小児より腎症の頻度が高く、しかもより重症になる傾向がある。
  1. 腎疾患合併例は、未治療時、腎不全に至る可能性があるので、適切な治療と経過観察が必要である。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 初発か再発か、いつからか。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
陳科榮 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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IgA血管炎

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