今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 新井達 聖路加国際病院 皮膚科

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2022/08/17
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. よりわかりやすくするために写真の入れ換えを行った。
  1. 文章、項目の整理を行った。

概要・推奨   

  1. 鶏眼・胼胝の誘因には足と足趾の変形による内因性と靴、職業、基礎疾患などに伴う外因性の2つがある。
  1. 鶏眼、胼胝に際し、外科的切除による治療はかえって創部の硬結を生じるので、基本的には行わない。
  1. 鶏眼・胼胝が多発している症例では、糖尿病性神経障害に伴う足変形、全身性強皮症などの基礎疾患、Werner症候群などの遺伝性疾患の存在に注意する。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 鶏眼は足底および趾の背側、側面などに生じる小角化性局面であり、第1~3趾中足趾節間(MP)関節足底面、第3~5趾間関節背面、第4~5趾間関節側面などに好発し、強い圧痛を伴う(図<図表>)。中央に径5~10mm程度の角質塊からなる核を持つ皮表を底とした楔状の過角化局面であり、この形態が鶏の眼または魚の眼に似ていることより‘うおのめ’と呼ばれている。
  1. 胼胝は足底と趾の背側面以外の部位にも、例えば足背、手掌、指、肘、膝などにもみられるほぼ円型の板状過角化局面であり、圧痛は通常ないか軽い(図<図表>)。俗に‘〇〇たこ’といわれるように、職業、趣味、習慣、癖、スポーツなどとの深い関係が指摘されている。
  1. 足底の角質増殖はある意味、老化現象の一端ともみなされているので、程度の差はあれ壮年期以降にみられるようになり重症化すると鶏眼、胼胝に進展する。
  1. 鶏眼、胼胝とも、その本態は下床に硬い骨もしくは関節のある部位に反復する軽度の圧迫や摩擦などの機械的刺激によって生じる限局性の角質増殖である。
 
鶏眼と胼胝の模式図

ともに外的刺激に対する防御反応ではあるものの、‘たこ’は体表からの刺激に対して個体側が正常に反応し外方に角質肥厚したもの、また、‘うおのめ’は外的刺激を下床の骨もしくは関節からの刺激と個体側が誤認して内方に向け角質肥厚した結果、かえって生体を傷つけるようになったものとみなすこともできる。

出典

立花隆夫先生ご提供
 
  1. 鶏眼、胼胝の誘因には内因と外因があり、前者は足の変形と足趾の変形からなる足関節構築障害である。すなわち、足には縦・横方向のアーチがあり、それらが崩れると甲高、扁平足あるいは開張足などの足の変形を呈するようになる。また、足趾の変形としては外反母趾、内反小趾などがある。一方、外因としては靴、生活環境、職業、基礎疾患などが挙げられる。
 
開張足

足の甲の部分が横に広くなっている状態をいう。正確には、足の第1中足骨と第5中足骨との末梢(足の指先)方向に向かってなす角度が30°以上を示し、足の横アーチが偏平になっているものをいう。なお、この症例では第1趾内側に鶏眼、第5趾に胼胝をみる。

出典

著者提供
 
外反母趾

足の第1趾(親趾)が第5趾(小趾)の方に曲がっていく症状を指す。足に合わない靴を履いている場合が多いとされ、女性に多くみられる。また、外反母趾では、母趾内転筋によって第1趾は内旋し第2趾の下に入っていき、第2趾のMP関節が突出するようになる。なお、同じ要因によって、第5趾が第1趾の方に曲がっていく症状を内反小趾という。

出典

立花隆夫先生ご提供
問診・診察のポイント  
  1. 鶏眼は足底および趾の背側、側面などに生じる小角化性局面であり、第1~3趾MP関節足底面、第3~5趾間関節背面、第4~5趾間関節側面などに好発し、強い圧痛を伴う(図<図表>)。中央に径5~10mm程度の角質塊からなる核を持つ皮表を底とした楔状の過角化局面であり、この形態が鶏の眼または魚の眼に似ていることより‘うおのめ’と呼ばれている。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
新井達 : 講演料(ユーシービージャパン(株),アムジェン(株)),奨学(奨励)寄付など(サンファーマ(株))[2024年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(サノフィ(株),日本イーライリリー(株),アッヴィ合同会社,協和キリン(株))[2024年]

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鶏眼・胼胝

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