今日の臨床サポート

ムンプス(小児科)

著者: 田中孝明 川崎医科大学 小児科学

監修: 渡辺博 帝京大学老人保健センター

著者校正/監修レビュー済:2021/09/08
参考ガイドライン:
  1. Centers for Disease Control and Prevention:Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases, The Pink Book. 13th ed
  1. 日本聴覚医学会:ムンプス難聴. 急性感音難聴診療の手引き 2018年版
  1. 日本環境感染学会:医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版
 
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 突然の両側または片側の有痛性耳下腺腫脹を伴う患者を診察した場合、ムンプスの既往やワクチン接種の有無、周囲の流行状況を聴取する(推奨度1)。
  1. ムンプス患者には可能な範囲で聴力障害の評価を行うことが望ましい(推奨度2)。
  1. 特異的治療法はなく、発熱や疼痛、経口摂取不良、各種合併症などに対する支持療法を行う(推奨度2)。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
田中孝明 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:渡辺博 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、各種図表や引用・参考文献をアップデートした。
  1. 「ムンプス難聴の大規模全国調査(日本耳鼻咽喉科学会)」や「医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版(日本環境感染学会)」に基づき、加筆修正を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. ムンプス(流行性耳下腺炎、おたふくかぜ)とは、ムンプスウイルスによる全身性感染症である。
  1. ムンプスウイルスはパラミクソウイルス科に属し、表面にエンベロープをもつ1本鎖RNAウイルスである。
  1. 唾液腺(耳下腺が最も多い)の有痛性腫脹や発熱を主症状として発症し、通常1~2週間で軽快する。
 
ムンプス患児の唾液腺腫脹

両側の耳下腺腫脹を認める。

出典

img1:  著者提供(保存不可)
 
 
 
  1. 唾液など気道分泌物の飛沫や接触によりヒトからヒトへ感染する。潜伏期間は通常12~25日間(多くは16~18日間)である[1][2][3]
  1. ムンプスウイルスは腺組織(唾液腺、精巣、卵巣、乳腺、膵臓など)や神経組織(髄膜、内耳など)に親和性が高い。ウイルスの体内での増殖動態を図に示す[4]
 
ムンプスウイルスの体内での増殖動態

気道粘膜、所属リンパ節で増殖したムンプスウイルスは、ウイルス血症を起こし全身に散布される。その後、唾液腺、中枢神経、内耳、膵臓、精巣、卵巣、腎臓、心筋、乳腺などの親和性のある臓器で増殖し、臨床症状を呈する。

 
  1. 唾液からのウイルスは耳下腺腫脹7日前から9日後くらいまで分離されるが、特に腫脹1~2日前から腫脹後5日までが他人への感染源となりやすい[3]
  1. わが国では、3~5年周期で流行している。報告患者は7歳以下で70%以上を占めるが、10~19歳が増加傾向にある[5]
 
わが国におけるムンプス流行の推移(1982~2020年)

1982年以降、ムンプスは3~5年周期で流行している。1989年~1993年のMMRワクチン定期接種導入や近年の接種率上昇により、流行の周期や程度は変化する傾向がある。

 
ムンプスの年別・年齢群別割合(2000~2019年)

報告患者は7歳以下で70%以上を占めるが、10~19歳が増加傾向にある。

 
  1. 一般的に予後良好であるが、感染力が強く、種々の合併症や後遺症を呈することがあるため、ワクチンで予防すべき疾患である[6]
 
ムンプスの主要症状と合併症

ムンプスは一般的に予後良好であるが、種々の合併症を呈することがある。年齢が高くなるほど症状が典型的となり、合併症の頻度が高くなる。

  1. ムンプスは学校保健安全法に定める第2種学校感染症疾患であり、「耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで」出席停止とする。また、ムンプスは感染症法5類感染症であり小児科定点医療機関では週単位で届出をする必要がある[7]
 
 
 
問診・診察のポイント  
  1. 突然の両側または片側の有痛性耳下腺腫脹を伴う患者を診察した場合には、ムンプスの既往やワクチン接種の有無、周囲の流行状況を聴取する[8]
  1. 筋肉痛、食欲低下、倦怠感、頭痛、微熱などの症状が先行することがある。通常、これらの症状から48時間以内に唾液腺腫脹を呈する[2] [3]
  1. 耳下腺はリンパ節よりも柔らかく、腫脹により下顎のラインが不明瞭となる[9]。頬粘膜に存在するステンセン管開口部に発赤を認めることがある[10]
 
 
 
  1. 耳下腺腫脹は発症3日目頃がピークで、通常7~10日で軽快する。顎下腺や舌下腺も腫脹することがあり、ときに顎下腺のみの場合もある[6]
  1. ワクチン未接種者における不顕性感染は、約15~24%である[2]

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文献 

著者: G EVERBERG
雑誌名: Acta Otolaryngol. 1957 Nov-Dec;48(5-6):397-403.
Abstract/Text
PMID 13508195  Acta Otolaryngol. 1957 Nov-Dec;48(5-6):397-403.
著者: Hiromi Hashimoto, Masashi Fujioka, Hiroshi Kinumaki, Kinki Ambulatory Pediatrics Study Group
雑誌名: Pediatr Infect Dis J. 2009 Mar;28(3):173-5. doi: 10.1097/INF.0b013e31818a8ca8.
Abstract/Text BACKGROUND: Deafness is a rare but important complication of mumps virus infection. Its incidence has been estimated at 0.5 to 5.0 per 100,000 cases of mumps, but recent reports from Japan, where mumps is endemic, suggest that the incidence might be higher.
OBJECTIVE: Prospective office-based study to determine the incidence of hearing loss in children with mumps.
METHODS: Forty pediatric practices participated in this survey. The study population consisted of patients < or =20 years old with mumps seen between January 2004 and December 2006. Clinical diagnosis of mumps was made by experienced pediatricians. Among those from whom written consent was obtained, parents were asked to conduct hearing screening tests by rubbing fingers near the ears twice daily for 2 weeks. Patients suspected with hearing loss were further examined by an otolaryngologist.
RESULTS: Among 7400 children who underwent hearing ability assessment after clinical onset of mumps, 7 had confirmed hearing loss; none had been previously vaccinated against mumps. In all cases, hearing loss was unilateral but severe and did not improve over time.
CONCLUSIONS: The incidence of hearing loss in children due to mumps was 7/7400 (approximately 1/1000 cases), which is higher than previously suggested. Prevention of deafness is another important reason for assuring universal immunization against mumps.

PMID 19209100  Pediatr Infect Dis J. 2009 Mar;28(3):173-5. doi: 10.109・・・

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