今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 長谷川行洋 東京都立小児総合医療センター 内分泌・代謝科

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2024/03/21
参考ガイドライン:
  1. International Turner Syndrome Consensus Group:Clinical practice guidelines for the care of girls and women with Turner syndrome: proceedings from the 2016 Cincinnati International Turner Syndrome Meeting
  1. European Society for Paediatric Endocrinology Turner Syndrome Working Group:Optimal Pubertal Induction in Girls with Turner Syndrome Using Either Oral or Transdermal Estradiol: A Proposed Modern Strategy
  1. Endo-European Reference Network:Pubertal induction and transition to adult sex hormone replacement in patients with congenital pituitary or gonadal reproductive hormone deficiency: an Endo-ERN clinical practice guideline
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、薬剤と参考文献について加筆した。
  1. なお、2024年に国際的ガイドラインの改定が予定されている。

概要・推奨   

  1. ターナー症候群はもっとも多い染色体異常症のひとつであり、女性2000名に一人程度の頻度である。
  1. 本症では、低身長、思春期遅発がもってもよく見られる症状である。循環器、耳鼻科などの合併症もしられ、全身の診療が求められる疾患単位である。
  1. 小児期に診断される症例では生涯にわたる医療的経過観察を要する。
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. ターナー(Turner)症候群は、低身長、思春期発達の遅れから診断されることが多いX染色体あるいはその短腕の欠失などを特徴とする染色体異常の1つで、女性2,000人に1人以上の頻度である。
  1. 年齢ごとに疑われる徴候は異なり、新生児・乳児では身長・体重増加不良に加え、手足の浮腫(リンパ管浮腫)、翼状頚、心雑音(大動脈縮窄症に代表される心疾患)がきっかけとなり診断が疑われる。
 
手背の浮腫

左の手背にリンパ管浮腫がみられる

出典

著者提供
 
  1. 幼児期、学童期(思春期年齢前)では、低身長がきっかけとなり診断が疑われる。
  1. 思春期年齢では、思春期が発来しない、あるいは進行しないこと(原発性性腺機能低下症の合併)がきっかけとなり診断が疑われる。
  1. 低身長に対しては成長ホルモンの治療が有効であることは確立している。無治療と比べて+5~8cm程度の最終身長改善が期待できる。性腺機能低下症に関しては女性ホルモン補充が行われる。
  1. 生命予後に関する事項として、大動脈拡張、大動脈解離の合併が知られている。10歳代からの合併が知られ、20歳代以上での死亡例が存在する。
問診・診察のポイント  
  1. 年齢ごとに診断のきっかけになる徴候、症状がおよそ分かれるので、そのことを頭に入れて問診、診察を行う。低身長以外にほとんど何も診察での陽性所見がみられない本症患児が存在するため、−2SD以下の低身長女児では一度は染色体検査により本症を除外することを考慮する。
  1. 新生児、乳児早期のリンパ管浮腫、翼状頚はともに他の染色体異常症(ダウン症など)でもみられ得る徴候である。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
長谷川行洋 : 講演料(ノボノルディスクファーマ(株))[2024年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2024年]

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Turner症候群(小児科)

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