今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 吉田健太1) 三重大学医学部附属病院産科婦人科

著者: 池田智明2) 三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座産科婦人科学

監修: 小林裕明 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科生殖病態生理学

著者校正済:2024/09/18
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本産科婦人科学会日本産婦⼈科医会編:産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
  1. 日本産科婦人科学会日本病理学会:卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第2版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023』を参照に、下記の点などを加筆・修正した。
  1. 妊娠反応が陰性の場合における診断時の腫瘍マーカーとしてHE-4を追加した。
  1. 卵巣癌・卵管癌治療後の経過観察の項目を追記した。経過観察の目安は、1~2年目が1~3か月毎、3~5年目が3~6か月毎、6年目以降は1年毎。問診、直腸腟内診、経腟超音波は毎回行う。腫瘍マーカーとCT検査は適宜行う。上皮性境界悪性腫瘍(LPM)は、卵巣癌と比べて、治療後長期間を経てから再発することが特徴である。
  1. 卵巣腫瘍(悪性)の疫学を更新した。また罹患率のグラフを国内データに差し替えた。
  1. 取り扱い規約改定により以前卵巣癌と診断されたものの多くが、卵管癌と呼ばれるようになった。それに伴い、本項でも用語の修正を行った。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 産婦人科領域の下腹部腫瘤で重要性の高いものは、卵巣腫瘍と子宮腫瘍である。また卵巣腫瘍には発生年齢による背景と組織学的特徴があり、診断するうえで参考になる[1]<図表>
  1. 思春期女子の場合は、重複子宮や片側腟管閉鎖などによる月経血貯留と貯留部位の腫大に代表されるMüller管形成障害も考慮する。
  1. 産婦人科領域外では、消化管から発生する消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor、GIST)との鑑別が必要となる。
  1. 卵巣子宮内膜症は、卵巣ホルモンの影響により腫大・進行するが、約1%に悪性腫瘍(卵巣癌)が発生するので注意が必要である。また卵巣癌は同年齢のすべての悪性腫瘍の約3%とされている。
  1. なお下腹部腫瘤で頻度の高い疾患は卵巣腫瘍と子宮筋腫であるが、本稿では卵巣腫瘍、特に卵巣・卵管悪性腫瘍を中心に概説し、 子宮筋腫 の詳細は別項に譲る。また鑑別診断として類似した臨床症状を呈する場合があるGISTにも言及したい。
 
48歳:卵巣腫瘍(悪性)

粘液性嚢胞腺癌+子宮内膜症
①卵巣子宮内膜症(多房性)で経過観察
②腫瘍の増大・隔壁肥厚(+)
a:MRI所見
b:MRI所見
c:術中所見
d:摘出腫瘍

出典

古谷健一先生ご提供
  1. 生殖可能年齢の女性では、妊娠の有無によって以後の診断・治療方針が異なる可能性があるため、妊娠反応や問診、エコー検査等で、最初に確認することが推奨される。
診断  
所見のポイント:
  1. 下腹部腫瘤感やそれによる圧迫症状は、産婦人科外来にて比較的頻度が高く見られる主訴である。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
池田智明 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:小林裕明 : 講演料(MSD(株),中外製薬(株),アストラゼネカ(株),(株)メディカロイド),研究費・助成金など(シスメックス(株),(株)メディカロイド),奨学(奨励)寄付など(中外製薬(株))[2024年]

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