今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 藤澤信 横浜市立大学附属市民総合医療センター 血液内科

監修: 宮﨑泰司 長崎大学病院血液内科

著者校正/監修レビュー済:2024/09/18
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った。
  1. 『造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版』に即して改訂した。
  1. 未治療のFLT3-ITD変異陽性AMLに対するキザルチニブについて加筆した。
 

概要・推奨   

  1. 標準的寛解導入療法としてIDR(12 mg/m2、3日間)またはDNR(50 mg/m2、5日間)+ Ara-C(100 mg/m2、7日間)のセット療法が広く用いられている(推奨度1)
  1. 60歳以下のCBF白血病の寛解後療法にはシタラビン(Ara-C)大量療法が選択される(推奨度1)
  1. AMLの予後に最も大きく影響するのが染色体異常で、染色体の核型異常のパターンから予後良好群、予後中間群、予後不良群の3群に分類されている(推奨度1)
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  1. CBF白血病のうち、RUNX1-RUNX1T1陽性AMLではKIT変異、特にexon17変異は予後不良因子である(推奨度1)
  1. FLT3-ITDは独立した予後不良因子である(推奨度1)
  1. 未治療FLT3-ITD変異陽性AMLに対するキザルチニブ併用療法の有効性が示されている(推奨度2)
  1. 正常核型AMLでFLT3-ITD変異を伴わないNPM1変異症例は予後良好である(推奨度1)
  1. CEBPA遺伝子変異は正常核型AMLにおける独立した予後良好因子である(推奨度1)
  1. IDH1遺伝子変異は正常核型AMLにおける独立した予後不良因子である(推奨度2)
  1. WT-1遺伝子変異は正常核型AMLにおける独立した予後不良因子である(推奨度2)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 白血病とは、腫瘍化した造血細胞が骨髄のなかで無制限に増殖して末梢血液中に出現する疾患の総称である。白血球系細胞が腫瘍化することが多いため一般に白血病と呼ばれるが、実際には赤血球系や血小板系の細胞が腫瘍化した場合も含めて総称的に白血病と呼ぶ。臨床経過から急性と慢性に分類されるが、一般に急性では分化能を失い、未熟な腫瘍細胞が増加する。一方、慢性では分化能が保持され、主に成熟した腫瘍細胞が増加する。さらに細胞起源から骨髄性とリンパ性に分類される。急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)はFAB分類でM0からM7の8種類に分類される。
  1. 分子異常としては、①FLT3やc-KITなどのレセプター型チロシンキナーゼやABLなどの非レセプター型チロシンキナーゼの変異とそれに基づく恒常的活性化、②t(15;17)、t(8;21)、inv(16)などでみられる転写因子の機能異常による分化成熟障害、③RASに代表されるGTP結合タンパク質の異常活性化、④p15、p21などの細胞増殖の停止や分化に必要な遺伝子のエピジェネティックなメカニズムによる発現抑制などが代表的なものである。
  1. AMLは、発症頻度の低い疾患であるが、わが国では最も発症頻度の高い成人の白血病である。成人急性白血病の75~80%を占め、急性リンパ性白血病(ALL)の約4倍である。高齢者ほど発症率が高くなる。
問診・診察のポイント  
  1. 骨髄内での白血病細胞の急激な増加によって正常造血が障害されるため、貧血による全身倦怠感、息切れ、動悸、白血球減少による発熱、血小板減少による出血傾向(鼻出血、歯肉出血、血尿、眼底出血など)などの症状がみられる。

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オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
藤澤信 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:宮﨑泰司 : 未申告[2024年]

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急性骨髄性白血病

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